NumberPREMIER ExBACK NUMBER
「WBC世界一のベネズエラ人左腕」ホセ・キハダはなぜヤクルトに来たのか? エンゼルスでは大谷翔平とプレーも…本人が明かした知られざるルーツ
text by

近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2026/08/31 17:02
ヤクルト前半戦躍進の立役者ホセ・キハダ投手。WBC世界一に輝いたベネズエラ人左腕はなぜスワローズに来たのか?
「“パンチョン”の愛称で親しまれていた指導者の方が、『プロを目指してトレーニングを始めては?』と勧めてくれたんだ。え? プロですか? と、当然真剣には受け取らなかった。でも、彼は僕の可能性、力強いボールを投げられることを見抜いてくれた。そこから話はとんとん拍子で進み、16歳の時にマイアミ・マーリンズと契約することになったんだ」
ただ、肩がものすごく強いベネズエラの少年にマーリンズが支払ったのは、わずか5000ドルだったらしい。
「新人の契約金なんて、普通はそんなもの。チームにとっては取るに足らない金額だよね。でも彼らが僕にくれたのはお金ではなく、チャンスだった。神様が僕にマーリンズのユニフォームを授けてくれたんだよ」
ADVERTISEMENT
16歳のキハダは、生まれ育ったカリピトを離れた。故郷には家族がいて、愛する人たちもいた。しかし未来だけがなかった。マーリンズが与えてくれたのは、その未来だった。彼はまずドミニカ共和国に渡り、同国のリーグでプロとしての基礎を学ぶ。野球漬けの日々が始まり、それまで独学に近かった少年は、ここで初めて「プロになるための野球」に触れた。
その後に待っていたのはアメリカでの生活だった。マイアミは故郷と何もかも違った。「途方に暮れたよ」とキハダは笑う。
「マイアミは高層ビルだらけで、道路はどこまでも続いていて、人と車ばかり。一度出かけると、自分の住んでいたマンションへ帰る道さえ分からなかった」
言葉も十分に通じず、文化も食べ物も違う。家族も友人もいない。彼にあるのは野球だけ、だから野球にすべてを懸けた。しかし「自分はどこから来たのか」を忘れたことはなかった。キハダは驚くほどのスピードで階段を駆け上がり、契約から3年半後、マーリンズのトップチームに昇格する。
エンゼルスで出会った大谷翔平
アマチュア時代も含めて7年間をマーリンズで過ごしたキハダは、2020年、エンゼルスへ移籍した。新しいユニフォームに袖を通した彼を待っていたのは、世界最高峰の才能が集まるクラブハウスだった。マイク・トラウト、アンソニー・レンドン、そして二刀流という信じられない道を進む大谷翔平がいた。
「オオタニとはよく雑談しましたよ」
【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」ホセ・キハダが語る“右腕”の生き様と“左腕”にタトゥーが入っていない理由「いつもファンと共に戦う」「僕がするY字ポーズ、あれを…」《インタビュー》で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。
Number1150号 それでも、やっぱり、スワローズ。 *書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

