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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「俺はもう一回藤井のトス打つで」清水邦広が心残りだった故・藤井直伸との約束…引退試合で実現「美弥さんのトス、深津よりも打ちやすかった(笑)」
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byOSAKA BLUTEON
posted2026/08/12 11:01
8月8日に引退試合を行なった清水邦広。自ら運営に参加し、参加者一人一人に直接連絡を取ったという
「2012年ロンドン五輪予選の時のことですね。清水は足首を手術したばかりで、ギリギリ間に合わせたみたいな感じだったんですけど、リハビリする姿を見ていても、『自分が試合に出て日本をオリンピックに連れていくんだ!』という、そこに懸ける気持ちがすごく伝わってきた。彼はどんな怪我をしても必ず復活してきたので、諦めない魂というか、そういうところがすごく印象に残っています」
2018年に大手術をした右膝の状態が悪化し、今年に入ってからスパイクを打てなくなったことが引退のきっかけとなったが、今回の引退試合に向けて、懸命にコンディションを整えた。公式戦より少し低いネットではあったが、鋭いクロススパイクや巧みなフェイントで満員の会場を沸かせた。
「膝の状態も悪かったし、筋力もだいぶ落ちていたので、スパイクを打ちながら、『いつ怪我するんだろう。怖すぎ』という感じでしたけど(苦笑)。力を入れて跳んじゃうと痛みが増すので、ゆっくり膝をかばいながら打っていたんですが、なんとかもってよかった。それは僕だけじゃなくて、ゲストのメンバーには長い間ボールを触っていない人もいたので、正直、始まる前は怪我の不安が一番ありました。無事にみんな怪我なく終わってくれたのは本当によかったです」
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主役が、まるで運営責任者のように安堵の表情で言った。
故・藤井直伸との約束
引退試合の企画を進める上で、清水にとって欠かせなかったテーマが、「お世話になった北京世代の人たちへの恩返し」。そしてもう一つ。
「一番は、藤井のことがやっぱり、心残りだったので……」
2023年に病のため31歳の若さでこの世を去ったセッターの藤井直伸さんは、清水が特に可愛がり、信頼していた後輩だった。2019年に代表で初めてチームメイトになると気が合い、「気づいたら一番仲がよくなっていた」と振り返る。合宿のオフの日には必ず2人でサウナに行く“サウナ友”でもあった。
二枚替えで一緒にコートに入ることも多く、2021年の東京五輪で清水が13年ぶりとなる五輪での得点を決めた時も、トスを上げたのは藤井さんだった。
「藤井とは、病気になってからも一緒にご飯を食べたり、会いにいったりしていたんですけど、その時に、『治った時に俺にトス上げてや!俺は絶対もう一回藤井のトス打つで』という約束をしました。それが(果たせなかったことが)引退してもやっぱり心残りで。このイベントをすると決まった時に、(藤井さんの妻の)佐藤美弥さんにすぐ連絡しました」


