バレーボールPRESSBACK NUMBER
「えっ、1年前と違う…」身長194cm“あのスーパー1年生”が覚醒の予感「入学直後は腕立ても逆立ちもできなかった」急成長のウラに宮浦健人と“BBQ説教”
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuko Tanaka
posted2026/08/11 11:01
昨夏から大きな成長を感じさせた川内商工・田中洸(高2)
弱点に打ち克ち、むしろ、それを武器へと変えていく。その変化につながった2つ目のきっかけが、田中が憧れると語る、ある一人の選手の存在だ。
「宮浦健人さんも同じ打ち方をしていると先生に言われたので、宮浦さんの映像を何回も何回も見て、自分もやってみようと真似してきました」
同じ九州出身のサウスポー。「将来は日本代表で活躍したい」と公言する田中にとって、宮浦は絶好のお手本でもある。
ADVERTISEMENT
「打ち方がきれいで、奥に打ったり、いろいろなコースにスマートに決まる。淡々とプレーしているのもカッコいいです」
田中に宮浦と同じ打ち方をするように勧めたのは、今年の春高まで指揮した田代博明前監督だった。田代は、九州勢として何度も対戦してきた宮浦の高校時代をよく知っている。「田中よりはガッチリしていたけれど、宮浦も線が細くて今のようなパワーはなかった」と回顧し、当時の姿を田中に重ねる。
「高さは洸のほうがあるし、身体の使い方もうまいし、しなやかなので、あとはパワーをつけて、どんなトスも打てるようにコツコツ練習すること。宮浦のように努力できて、周りからも信頼される人間性もなければ真のエースにはなれません。洸自身も『全部俺に持って来い』と言えるぐらいの強さをつけてほしいし、周りからも『洸なら決めてくれる』と託される選手になってほしいし、なれる力はあると信じています」
BBQでまさかの説教
“人間性”の必要性を説く、こんなエピソードもある。
今春、田代は種子島高校に異動。その縁で、川内商工はインターハイ前の合宿のため種子島を来訪した。その際、種子島高の保護者が、インターハイへの壮行会と、U18日本代表で銀メダルを獲得した田中のお祝いと慰労を兼ねたバーベキューを開催してくれた。
選手たちは、焼いてもてなしてくれる肉や野菜に舌鼓を打ったが、7月の種子島は猛暑だ。「ちょっと休憩したかった」という田中は同級生たちと近くの川に足を入れて涼んでいた。他の選手が手伝いをしているのもわかっていたし、決して悪気があったわけではなかったが、その態度が田代前監督の逆鱗に触れた。
「焼いてもらった肉を食べるだけで、お前は何もしないのか。代表だからそんなに偉いのか? バレーもバーベキューも同じ。みんながいるから自分がいて、おいしい肉が食べられて、スパイクも打てるんだろ。周りの人たちに感謝もできない選手が、エースになんてなれるわけないだろ!」
種子島のバーベキューを振り返り、田中は苦笑いを浮かべる。
「しっかり叱られました(笑)。でも、先生が言う通りなので、胸に響いたし、どんなことに対してもちゃんと感謝の心を持てる人間にならないといけないと思いました」

