ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER

「恋人や移籍ゴシップより面白いはずだ」オシム元日本代表監督が語った“サッカーメディアへの期待”「深く語る必要が…そういうわけで、ありがとう」 

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2026/08/09 06:01

「恋人や移籍ゴシップより面白いはずだ」オシム元日本代表監督が語った“サッカーメディアへの期待”「深く語る必要が…そういうわけで、ありがとう」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

イビチャ・オシム元日本代表監督の言葉は、SNSやネットメディア全盛となった現代にも普遍性を持つ

 君と君の同僚たちは、君らの雑誌が本物のスポーツ雑誌になるために努力すべきだし、世界に比肩しうるサッカー雑誌になることを目指す。今、日本のサッカーは世界に認知されつつあるのだから、メディアもまた同様であるべきだ。サッカー大国はどこもそうだ。ガゼッタ・デロ・スポルトやア・ボラ、フランスフットボール、キッカー……。どこにも優れたメディアがある。専門に特化することは必要だ。特化して、ディテールの中に入っていく。それは君自身がすでにやれることだ。試合を詳細に分析し、そこで起こったディテ ールの数々を説明する。スター選手がどんな車に乗っているかとか、恋人を誰から誰に替えたとかいうゴシップよりも、ずっと面白いはずだ。

 試合中に選手がどうしてあんなミスをするのか、なんでああいうプレーしかできないのか、なぜゴールが決まらなかったのか、彼らが負けた理由は何であるのか……。そうしたことを人々は知りたがっている。

 心理的な側面からも、そうした事がらへの説明は必要だ。それも科学的に。なぜならサッカーとはそういうもので、すべては監督と選手の頭の中で起こる。サポーターやメディアのレポーターたちの頭の中で起こったことでもあるからだ。

ADVERTISEMENT

 私は今でもなおサッカーのそうした側面に魅力を感じるし、刺激を受けている。昨日、私はかつてのチームメイト(ヨージップ・カタリンスキー)と久しぶりに会った。彼とは長い間一緒にプレーし、そのころのことをいろいろ思い出して昔話に花が咲いた。いいことばかりではなく、馬鹿な失敗もたくさんしたが、それはそれでまた思い出すのは楽しいものだ。

サッカーを深く語る雑誌やメディアは必要だ

――そうですね。では読者にメッセージを。

オシム:書籍のようにサッカーを深く語る雑誌やメディアは必要だ。そこから読者が優れた情報を得ることができるものだ。あるいは優れた分析。それはさほど難しくはない。必要な情報はすべてある。必要な議論も揃っている。

 ちょうど今夜の試合のように。試合が始まるのを待ちながら、何が日本にとって興味深いテーマかを考えることができる。真実こそを探求すべきで、それだけだ。確証がなければ誰かと議論して、自分の考えが正しいかどうか判断できる。私も今から自分の考えが正しいかどうかを検証してみる。それが君の雑誌と同じかどうか。同じならいいが、違っていたらまあそれは残念だ(笑)。

――まあ、だから議論するわけで(笑)。

【次ページ】 そういうわけで、どうもありがとう

BACK 1 2 3 NEXT
#フィリップ・トルシエ
#イビチャ・オシム
#ヨージップ・カタリンスキー
#アマル・オシム

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ