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江夏豊の“体型を変えた”球団命令「今だったら人権侵害で完全アウト」心臓に抱えていた“爆弾”「ここで死んでしまうのでは…」マウンドでも発作が起きた
posted2026/07/12 11:00
若手時代はスリムな体型だった江夏豊(1970年、当時22歳)。体重増加には明確な原因があった
text by

江夏豊+松永多佳倫Yutaka Enatsu + Takarin Matsunaga
photograph by
JIJI PRESS
「今だったら人権侵害で完全アウト」不条理な命令
ブチ(※編注:田淵幸一)と対照的に、俺の見た目のイメージは「腹が出ているいかつい輩」といったところか。自分でも否定はしないが、それは現役晩年以降の姿で、阪神に入団した頃はヒョロヒョロだった。その頃の写真を見れば一目瞭然なのだが、いつしか太りだして、広島時代からは「腹が出ている」がある意味でトレードマークになっていた。
だが、大食いで太ったわけじゃない。盲腸が原因だった。
プロ3年目の69年、前年度に26完投、25勝12敗、329イニング、そして401奪三振という前人未到の成績を残した。だが、酷使しすぎたのか肩を痛めてしまい、それからは強烈な痛み止めを飲んでマウンドに上がる日々が続いた。そして翌70年は、無意識に肩をかばっていたせいか肘も痛めてしまう。
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70年はまさに満身創痍で、盲腸を三回も発症した。最初は5月の初頭。病院で診てもらうと急逝虫垂炎(盲腸)と診断され、普通なら手術で処置するのだろうが、「手術で休まれると困るから、切るな」と球団から命令された。今だったらとんでもない人権侵害で完全アウトだろう。
ともあれ、球団の指示には従うしかない。手術せずに薬で炎症を散らすことになり、いろいろな薬を飲まされ、その副作用で体がむくんでいった。むくみで苦しいから、練習ができない、練習しないから太る。その悪循環が心臓に負担をかけた。
薬でごまかしていたせいで腹膜炎まで発症し、オフに入ってすぐ手術を受けた。切開しなければならない部位が多く、縫合には何時間もかかった。まさに同じ年の10月、横綱の玉の海さんが亡くなった。七月場所中に急性虫垂炎を発症して途中休場したが、九月場所のために手術を受けず、痛み止めで強行出場。そして場所後の10月上旬に緊急手術を受けたのだが、術後に肺血栓を併発し、27歳で帰らぬ人となった。それがショックだったこともあって、“自分もやばいかもしれない”と不安になったのを覚えている。
幸いにも俺は手術で回復したが、別の問題が生じた。

