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「ステロイドと薬物を常用している」霊長類ヒト科最強の男に黒い噂…“北の最終兵器”との戦い「ケアーの様子がおかしい」カメラマンが撮影した衝撃の結末
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長尾迪Susumu Nagao
photograph bySusumu Nagao
posted2026/07/05 11:21
“北の最終兵器”イゴール・ボブチャンチンの上をとるマーク・ケアー。このあと、衝撃のシーンが生まれた
「巨象が地面に倒れるように…」衝撃の光景
ケアーはタックルでボブチャンチンの懐に入るものの、そこから得意のテイクダウンが決まらない。いつものスピードと、強引に相手を倒し切るパワーがないのだ。苦し紛れにキックを繰り出すと、カウンターを顔面に受けて大きくのけぞり、尻もち気味のダウンを奪われる。ときおり寝技でトップポジションを奪ったが、下から両腕を抱えられ、パンチを打つことはできなかった。いつもなら相手の腕をほどき、打撃を乱打するのだが、このときのケアーは上からしがみつくことが精一杯だった。
ケアーの背中から大量の汗が噴き出していた。体重差を武器にボブチャンチンの上に乗り、目をつむって呼吸を整えている。スタミナ切れを起こしたケアーに、獰猛な「スマッシング・マシーン」の面影はなかった。こんな彼を見るのは初めてだった。
2ラウンドに入ると、ケアーの動きはますます緩慢になった。セコンドのマーク・コールマンが激しく鼓舞する声も届いていないようだった。両者がもつれるようにグラウンドに移行したがボブチャンチンはすぐに立ち上がり、パンチで攻め込む。さらに中腰のケアーの顔面に膝蹴りが炸裂し、ボブチャンチンは相手の頭を抱えながら頭部に強烈な膝蹴りを1発、2発。勝利を確信したボブチャンチンは攻撃を止め、自ら立ち上がり相手から離れた。
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失神していたのだろう。ケアーはスローモーションのように、その場で頭からゆっくりと前のめりに崩れ落ちた。それは衝撃的な瞬間だった。まるで巨象がバッタリと地面に倒れてゆくようだった。観客も何が起こったのか理解できていなかった。一瞬の静寂の後にボブチャンチンが勝利をアピールすると、スタンディングオベーションがリングに注がれた。
当時のPRIDEルールでは4点ポジションでの膝蹴りは反則だったため、後日、試合結果はノーコンテストに変更された。そうは言っても、「霊長類ヒト科最強の男」がKOされたという事実は、衝撃的な映像とともに観衆の胸に深く刻まれた。ケアーがもはや世界最強でないことは明らかだった。
いったい、ケアーに何があったのか。その謎が解けたのは、試合から3年が経ってのことだった。
<続く>



