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「ステロイドと薬物を常用している」霊長類ヒト科最強の男に黒い噂…“北の最終兵器”との戦い「ケアーの様子がおかしい」カメラマンが撮影した衝撃の結末 

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長尾迪

長尾迪Susumu Nagao

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photograph bySusumu Nagao

posted2026/07/05 11:21

「ステロイドと薬物を常用している」霊長類ヒト科最強の男に黒い噂…“北の最終兵器”との戦い「ケアーの様子がおかしい」カメラマンが撮影した衝撃の結末<Number Web> photograph by Susumu Nagao

“北の最終兵器”イゴール・ボブチャンチンの上をとるマーク・ケアー。このあと、衝撃のシーンが生まれた

 実績ならプロデビュー戦で戦ったポール・ヴァレランス、ビッグネームということであればウゴあたりが骨のある相手だったかもしれない。ただ、ポールは勝ったり負けたりを繰り返していた選手で、ウゴは半年前のUFCでタンク・アボットにKO負けしたばかりだった。

ステロイド疑惑に「麻薬性の鎮痛剤使用」の噂も

 話を戻そう。その頃すでに、ケアーが筋肉増強剤であるアナボリックステロイドを使用していることは公然の秘密になっていた。当時からステロイドの爆発的な効果は知られていたが、副作用に関してはあまり理解されていなかった。オリンピックでは1968年からドーピング検査が行われていたが、野球のMLBで検査が始まったのは2003年のこと。プロレス団体のWWEでは2006年から、MMAでは2015年にUFCが検査を導入した。つまり90年代はまだ、ステロイドの使用に対する罪の意識は低かった。

 また、それ以上にケアーにとって深刻な問題だったのは、麻薬性の強力な鎮痛剤を常用しているという噂があったことだ。

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 そんな状況の中、高田戦から2カ月後の1999年9月、次なる対戦相手として「北の最終兵器」ことイゴール・ボブチャンチンが用意された。彼にとっては初めてとなる本格的なストライカーが相手だ。有識者の間でも、ケアーの苦戦を予想する声と、圧倒的なパワーで押し切るだろうという声、予想は真っ二つに分かれていた。

 ボブチャンチンはウクライナ出身のハードパンチャーで、当時の戦績は40戦38勝2敗。38勝の大半がパンチによるKO勝ちだった。身長173cm、体重97kgとヘビー級としては小柄ながら、遠心力と全身の体重を乗せたロシアンフックを振り回し、幾多の対戦相手をリングに沈めてきた。

 一方のケアーは185cmで119kg。体格差は歴然としており、私はパワーとスピードで上回るケアーの勝利を予想していた。だが、1ラウンド開始直前、赤コーナーに控える彼を注視してハッとした。身体に張りがなく、敵を威圧するオーラが感じられない。表情はどこか自信なさげにさえ見えた。筋肉の鎧こそ纏っているが、これまでのケアーとは何かが違う――言いようのない違和感をよそに、ゴングが鳴らされた。

【次ページ】 「巨象が地面に倒れるように…」衝撃の光景

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