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“霊長類ヒト科最強の男”マーク・ケアーとは何者だったのか?「異常に発達した僧帽筋…ヒクソンしか勝てない」誇張ではなかったUFC時代の“本当の強さ” 

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長尾迪

長尾迪Susumu Nagao

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posted2026/07/05 11:20

“霊長類ヒト科最強の男”マーク・ケアーとは何者だったのか?「異常に発達した僧帽筋…ヒクソンしか勝てない」誇張ではなかったUFC時代の“本当の強さ”<Number Web> photograph by Susumu Nagao

「霊長類ヒト科最強の男」と呼ばれたマーク・ケアー。その全盛期といえるUFC時代は、どれほどの強さだったのか

 まだ総合格闘技が現在ほど大きな市場を持っていなかった時代だ。サンパウロでのケアーの活躍はすぐに世界の関係者に伝わった。私のもとにも現地の友人のマルセロ・アロンソから「凄い選手がいる」と連絡があった。当時はYouTubeなどの動画は普及しておらず、試合のビデオをブラジルから取り寄せた。

 VHSを再生すると、狭く薄暗いリングで、血だらけの男たちが獣のように戦っている様子が粗い画質で映し出された。それでもケアーの強さが並外れていることはひと目で理解できた。マルセロは長くブラジルで格闘技の記者を続けており、ケアーに「スマッシング・マシーン(壊し屋)」というニックネームを付けた人物だ。

異常に発達した筋肉「70秒でトーナメント優勝」

 サンパウロでの試合から半年後の1997年7月、ケアーは『UFC 14』で4人によるヘビー級トーナメントに出場。初戦は素早いタックルでモティ・ホーレンスタインを倒しグラウンドへ。上からのパウンドで相手を屈服させた。決勝ではダン・ボビッシュの頭を固定し、自らの顎を眼球へ押し付けるという、残酷な攻撃でギブアップを奪った。

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 その後、ケアーは更なるスキルアップを求め、ロサンゼルスのバス・ルッテンのジムを訪ねた。ルッテンとのトレーニングでは、打撃や関節技など新たな技術を身に付けた。

 ケアーは同年10月の『UFC 15』でのトーナメントにも連続出場した。初戦は開始17秒、膝蹴りでグレッグ・ストットを失神KO。決勝は53秒、ドゥエイン・ケイソンにチョークで一本勝ち。 2試合合計の試合タイムはわずか70秒という圧勝だった。そのスピーディーで躍動感あふれる勝ちっぷりは、彼を単なる「ヘビー級の強豪」ではなく、一気に時代の寵児へと押し上げることになった。

 当時、私はUFCのオフィシャルカメラマンを任されていたこともあり、彼の試合はすべて撮影した。試合の内容以前の第一印象として、とにかくその肉体に驚かされた。上腕二頭筋、大胸筋、そして僧帽筋と呼ばれる頸部から肩にかけての筋肉が異常に発達しており、ヘビー級のなかでも明らかに際立っている。

 それでいて単にパワーだけの選手ではなく、豊富なアマチュア経験に裏打ちされたレスリング力も持ち合わせていた。彼に勝てる人間は私の知る限り、ヒクソン・グレイシーくらいしか思い浮かばなかった。

【次ページ】 石井和義が言った「ケアーじゃ客は入らへん」

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