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近鉄時代「鈴木啓示さんを嫌いとかではなかった」吉井理人はなぜ電撃トレードされたのか…監督との“秘話”と「ボール蹴飛ばし降板事件」の“激情”
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byTakahiro Kohara
posted2026/06/30 11:00
激情家だった、現役時代の吉井。鈴木啓示「先輩」との関係と、鈴木啓示「監督」との関係は何が違っていたのか
ルーキー時代に、宿舎の風呂場で鈴木と鉢合わせしたという。
ところが、実はその風呂が、ベテラン優先の“特別湯”だった。風呂場は2つあり、当時の吉井のようなルーキーは当然“一般風呂”に入らないといけない。
怒っているから謝りに行ってこい!
その暗黙のルールを知らなかった吉井は「こっちの方がすいてるやないか、って思って行ったら、鈴木さんがおったんです」と、そのシーンを思い出しながら、ふっと笑った。
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「お疲れさまです、って入ったら『おー』って言ってたんやけど」
吉井が風呂を出た後、慌てていたのは、他の先輩たちだった。
「鈴木さん、怒っているから謝りに行ってこい」
そこで初めて、近鉄の“風呂規則”に気づいたのだという。
「鈴木さんに説教されて、正座させられてね。でも『俺が若い時はな』って、その時の怒り方も、そんなにガミガミ怒るんじゃなくて、自分の経験談をいろいろと話してくれたんです。その時も、そんなにイヤじゃなかったんです。ま、自分が悪かったなと思ってね。もっとひどい、というか、殴られたりするんかなと思って行ったんですけど、行ってみたら鈴木さん、全然怒ってなくてね」
吉井のルーキー時代だから、1984年のことだ。
しかし、近鉄のレジェンド的存在である超ベテランが、若き高卒新人のちょっとした勘違いで、ベテラン用の風呂に入っていたくらいで怒り狂ったり、殴ったりでもすれば、それこそ大投手の沽券にも関わるだろう。ちょっぴり余裕、それでいて先輩の貫禄を見せておいた、というところなのかもしれない。
