海外サッカーPRESSBACK NUMBER
W杯に神降臨「メッシ38歳のハットトリック」カメラマンが“目の前で撮った”決定的瞬間「デパウルがメッシよりも嬉しそうに…」アルゼンチンの強さの理由
text by

原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2026/06/19 17:10
リオネル・メッシの6度目のW杯は最高の形で幕を開けた。ハットトリックを達成し、カメラ目線でポーズを決める
右を向いて拳を作ればバックスタンドが、左を向いてそうすればメインスタンドが、正面を向けばホームゴール裏が、あまりにも簡単に、面白いように沸き上がる。
それはまさに“神の振る舞い”だった。明らかに、自分の動きひとつでスタジアムの空気がどのように変化するのかをわかってやっている。
マラドーナからメッシへ…受け継がれた神性
2022年にカタールでトロフィーを掲げたことで、メッシはアルゼンチンにおいて名実ともにディエゴ・マラドーナに並んだ。
ADVERTISEMENT
この試合、観客席にマラドーナの名前や顔を見ることはかなり少なかった。応援用の太鼓や掲出されている幕にその姿を見つけることはできたものの、ファンが着用する10番のユニフォームにプリントされた名前は「MESSI」ばかりになっていた。
神としてのメッシの扱われ方や、その振る舞いを目の当たりにできただけでも、ここまで来た甲斐があった。ダラスに戻ればグループリーグでアルゼンチンをあと2試合、撮る機会がある。
「その時にもっと良いシーンが撮れたらいいな……」
前半終了時点では、そう思っていた。
ところが後半、幸運にも私自身も“神の施し”を受けることになった。
ハットトリックの決定的瞬間を目の前で!
60分、アレクシス・マックアリステルの強烈なミドルを、アルジェリアのGKルカ・ジダンが弾いた。こぼれ球に素早く反応し、2点目を決めたメッシが両手を広げて目の前を通り過ぎていく。無心でシャッターを切る。
そして76分には、狙いすました左足でハットトリックを達成した。ドイツのミロスラフ・クローゼに並ぶ、W杯歴代最多タイの16得点目。メッシが得意の形でシュートモーションに入った瞬間に、誰もがゴールを確信するような一撃だった。
次はベンチ側に走っていっても満足だ、と思っていたら、またもバックスタンド側に。しかも今回は通り過ぎずに目の前で止まり、その場で歓喜の輪が生まれた。
どうやら満足のキャパシティを大きく超えると人は冷静になるようで、「十分すぎるほど撮れた」という喜びとともに強く印象に残ったのは、むしろメッシの“周辺情報”だった。
ゴールを決めたメッシよりも嬉しそうにしているデパウルをはじめ、ちゃんと順番待ちをして個別にメッシと抱き合うアルゼンチン代表のフィールドプレーヤーたち。そしてメッシが顔を向けたタイミングを逃さずに、一番遠いところから拍手を送るGKのエミリアーノ・マルティネス……。




