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「井岡さんにはとても感謝しています」井上拓真が井岡一翔戦後に語った本音…最終ラウンド直前に父・真吾トレーナーにキレた「怒って言わないでくれって」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakashi Shimizu

posted2026/05/22 17:02

「井岡さんにはとても感謝しています」井上拓真が井岡一翔戦後に語った本音…最終ラウンド直前に父・真吾トレーナーにキレた「怒って言わないでくれって」<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

井岡一翔とのWBC世界バンタム級タイトルマッチで大差の判定勝ちを収めた井上拓真のインタビュー(後編)

「終わったな、やったな」

 勝利の喜びはもちろんのこと、大勝負を乗り越えた安堵感をともに共有していた。

 拓真は試合後のリングインタビューで最後に「井上尚弥の弟じゃなく、井上拓真をしっかりアピールしていきたい」と語っている。

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 尚弥は尚弥、拓真は拓真。

 身長は同じながら、リーチは10cmほど兄のほうが長い。ボクサーとしては短所になるものの、足さばき、位置取り、ボディワーク、駆け引きによってジャブの差し合いを苦にしないのだから、なるほどクラフトマン(職人)の称号がふさわしい。

「ナオみたいなリーチがあれば、もっと楽に当てられるし、もっと強くなれたんじゃないかって思ったことはあります。ナオにもそのことは言ったことがあるし、自分は勝手にうらやましがっていました。でもこの短いリーチでもジャブは当てられて、自分のボクシングがちゃんとできている。短いのにアウトボクシングは得意なんです。どうしてなんだろうって、自分でも不思議に思います(笑)。井岡さんとの試合のパターンが自分は得意ですし、かといって天心選手との試合のように前に行くこともできる。何でもできる万能型というものを、自分のスタイルとして磨いていきたいですね」

試合後には井岡から「ありがとう」

 次戦は統一戦を希望する。WBA王者・堤聖也へのリベンジに意欲をにじませるが、WBO王者クリスチャン・メディナ、IBF王者ホセ・サラスもいる。また、挑戦者決定戦に勝利した那須川とのリマッチの可能性もある。

「試合に向かっていくメンタルを、しっかりつくり上げていくことが大事。それができたらどんな相手にも負けないということは、今回の井岡さんとの試合で再確認できました。本当に(勝敗は)フィフティフィフティだと思っていましたから、相当な自信にはなりました」

 試合後のリング上で井岡からは「ありがとう」と言われたという。そして拓真も「ありがとうございました」と応じて、深々と頭を下げた。

 完勝という結果だからそう思えるのかもしれないが、レジェンドとの拳の掛け合いはあまりに幸せな時間だった。

「本当にあっという間で、ボクシングが楽しいと思えた12ラウンドでした。雲の上の存在だったレジェンドと戦えることが自分の凄く高いモチベーションになったし、凄く成長もできた。その意味でも井岡さんにはとても感謝しています」

 ボクシングが最高に楽しかった夜。

 それは達人によって職人のポテンシャルが引き出されたあまりに濃密な夜でもあった。

前編から続く>

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「井岡さんになら負けても…」井上拓真がいま明かすレジェンド・井岡一翔とのタイトル戦 “誰にも言っていない”衝撃の真相「勝負は自分のなかで5分5分だと」

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