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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「あの声援をもらえたことが答え」初の開幕2軍から再起、梅野隆太郎34歳を支えた“阪神ファンの声”「練習2時間前から早朝打ち込み」若手選手が目撃した愚直さ
posted2026/05/11 17:02
自身初の開幕2軍から、1軍昇格を果たした阪神・梅野隆太郎(34歳)の今
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph by
Sankei Shimbun
◆◆◆
これだけ実績を積み重ねてきたというのに、1軍から声がかからない。
そんなとき、腐ってしまうのか否か。
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梅野隆太郎は迷わず後者を選んだ。
「これまでいろんな先輩方の姿を見させてもらってきましたけど、どんな選手でも年齢を重ねていけば、立場がつらくなるときが必ず来る。そんなときでも自分と向き合ってくれる方々は本当に情がある人たちなのだなって最近、特に思うんです」
捕手はつくづく難儀な職業だ。
チームを勝利に導けば、好投した投手にスポットライトが当たる。新聞などのメディアでフィーチャーされるのは大概、結果論でリードを叩かれるタイミングになってしまう。梅野自身、SNS上や手紙でプレーや配球を厳しく指摘された回数は数えきれない。
それでも男はプロ入り後から一貫してファンとの接点を大切にしてきた。そんなスタイルは2軍暮らしが続いた今春も一切ブレなかった。
「2軍でも歓声をくれる方々が本当に多くて…」
兵庫県尼崎市に位置する阪神の2軍施設「ゼロカーボンベースボールパーク」の敷地内には、練習を見学する人たちが選手と触れ合える空間がある。日鉄鋼板SGLスタジアムから室内練習場に戻る途中、メーン球場の外周でありサブグラウンドの後方にあたるスペースで、梅野は時間が許す限りサインを求める声に応え続けた。
そんなある日、顔なじみのファンから心に響く言葉をかけられた。
「どんなときでも応援しているから」
立場の浮き沈みに左右されない打算なきエールは、いつの時代もアスリートの背中を押すものである。
「2軍でも自分のユニホームを着てタオルを掲げてくれたり、歓声をくれたりする方々が本当に多くて……。ずっと見てくれている人から子供まで、話しかけられたときはできる限り対応させてもらおうと思っていました」
梅野は尼崎での記憶を脳裏に蘇らせると、無意識に目元を緩ませた。
