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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「あの声援をもらえたことが答え」初の開幕2軍から再起、梅野隆太郎34歳を支えた“阪神ファンの声”「練習2時間前から早朝打ち込み」若手選手が目撃した愚直さ
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph bySankei Shimbun
posted2026/05/11 17:02
自身初の開幕2軍から、1軍昇格を果たした阪神・梅野隆太郎(34歳)の今
かくして梅野は2軍でコンスタントに快音を響かせるようになった。ファーム・リーグ開幕から4月23日に1軍合流するまでの1カ月超で16試合に出場し、打率2割9分、2本塁打、5打点の好成績を残した。自らのバットで1軍昇格への道を切り開いたのである。
「あれだけの声援をもらえたことが答え」
今季1軍初出場を果たした4月25日の広島戦。9回表が始まる直前、この回からマスクをかぶる背番号2が一塁側ベンチを飛び出すと、甲子園の四方八方から大歓声が湧き起こった。
それは男が再起に向けて覚悟を決め直した瞬間でもあった。
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「あの大舞台であれだけの声援をもらえたことが答えというか……。ファンの皆さんは今のような状況でも自分のことをリスペクトしてくれていた。あれだけの歓声を味わわせてもらえたら、誰だって『よしっ、またもう1回』と思いますよね」
結局、梅野は今季1軍初出場の翌日から6試合連続でベンチを温め続けた。それでも気持ちを切らすことなく、スタメンを外れた捕手の役割を黙々と全うしながら虎視眈々と出番を待った。
「代打の大変さ、途中からマスクをかぶる難しさを勉強させてもらいながら。やっぱり試合終盤になればなるほどプレッシャーはかかりますからね。試合展開を見ながら出どころを逆算して準備しています」
今季初スタメン…巨人に1点も与えなかった
それほどまでに出場機会に飢えていた男が、千載一遇のチャンスを逃すわけがない。5月3日の巨人戦。梅野は7試合ぶりの出番で今季初めてスタメンマスクを託されると、雨が降りしきる甲子園で持ち味を存分に発揮した。
先発投手は村上と並んでエース格の才木浩人だった。2戦連続で6失点と苦しんでいたが、梅野からすれば何年もコンビを組んで快投に導いていた相棒だ。
150km超えの直球で押す。ピンチの場面では後逸を恐れることなくフォークを選び、バットを振らせる。かと思えば、スライダーやカーブで目先を変える。
巧みなリードが冴えわたり、巨人に一度もホームベースを踏ませなかった。
試合は7回裏の攻撃中に降雨コールドで終了。才木の完封勝利が成立した直後、梅野はずぶ濡れで白色が濃くなったユニホームに充実感を漂わせながら、ベンチ裏の通路に現れた。背後に人の気配を感じながら折り返し階段をのぼり終えると、すぐさま10人の記者に囲まれた。
今年は滅多に味わえずにいた質問攻めを久々に堪能しながら、男はどこか安堵しているようにも映った。

