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好記録で日本インカレ制覇でも「僕は“準エース”くらいでいい」超ルーキーたちだけじゃない…早稲田の次世代エース・山口竣平“異色の存在感”
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和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga
posted2026/05/10 06:03
4月に行われた日本インカレ1万mで優勝した早大3年の山口竣平。ルーキーたちの活躍に注目が集まるが、上級生たちの実力も確かだ
ただ、ケガを経験したことは、今の山口にとっては決して無駄なことではなかった。
「それまでは1回も大きなケガを経験していなくて、“ただ走っていればいい”という気持ちで取り組んでいました。でも、それだと大事なところが見えなくなって、どこかで頭打ちになっていたと思います。ケガで走れなかったのは1カ月程度でしたけど、その期間は自分の競技人生を見つめ直すきっかけになりました」
こう振り返るように、競技者としても人としても、一回り成長する糧になったという。
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実際、今年に入ってから、チームに献身的な態度をとる山口の姿をたびたび目撃してきた。
2月、3月の記録会ではペースメーカーを買って出て、多くの仲間の自己ベストをアシスト。4月の東京六大学陸上でもルーキーを引っ張る姿があった(後輩だけでなく、同郷のライバル校の選手にも声をかけながら走っていた)。日本インカレで快挙を果たした翌日も、レースの疲労があるなか、朝からチームメイトの練習で給水役を務め、仲間に声援を送っていた。
「竣平は、後輩にも先輩にも物おじせずに接することができる。力のある選手、個性的な選手が多いので、チームを取りまとめるような存在になっていってほしい」
花田勝彦駅伝監督は山口にこのような役割を求めているが、上級生としての自覚も備わり、そんな選手に近づきつつあるのではないだろうか。
駅伝シーズンは「正直ワクワクしている」
山口自身も確かな成長を実感している。
「去年よりも確実にいろんな面で成長していると思っています。まだ早いんですけど、今年の駅伝シーズンに自分がどれだけ走れるのか、正直ワクワクしている部分がかなりあります」
もちろん戦力としても、“学生日本一”の称号を手にした自称“準エース”の存在は、チームが悲願を成し遂げるために欠かせない。ライバル校にとっても、大きな脅威となるはずだ。
新年度は始まったばかりだが、チーム目標の箱根駅伝優勝へ、機運は確実に高まっている。
「あくまでもトラックは個人の記録でしかないので、駅伝で、チームで勝った時のほうが自分の喜びも大きいと思っています」
山口が見据えるのも、箱根路の頂点だ。

