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好記録で日本インカレ制覇でも「僕は“準エース”くらいでいい」超ルーキーたちだけじゃない…早稲田の次世代エース・山口竣平“異色の存在感”
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和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga
posted2026/05/10 06:03
4月に行われた日本インカレ1万mで優勝した早大3年の山口竣平。ルーキーたちの活躍に注目が集まるが、上級生たちの実力も確かだ
そんなレースで序盤から先頭を引っ張ったのが山口だった。
「もしかしたら牽制し合うかもしれないと思っていて、そういうレースは見ている側もやっている側も面白くないので、自分が(レースを)作ろうと思いました」
学生日本一の座がかかっているだけに、記録ではなく勝負を重視して牽制し合う展開になることも十分予想されたが、入りの1000mが2分45秒と序盤からハイペースの展開に持ち込んだ。山口は2000m過ぎに一度は後ろに下がったものの、ペースが停滞しかけると3200mで再び先頭に立った。
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「最初の2000mは流れで引っ張ったんですけど、さすがにずっと引っ張るのはきつかったので、みんなの力を借りました。でも、逆に引っ張ってもらった時にうまくペースにハマらなかったので、自分で前に出ました」
予想外の「独走レース」の結末は?
実は、大会の1~2週間前ほど前に左脚に痛みを覚えて、MRI検査を受けており「欠場届を書いていた」と言うように、決して万全な状態ではなかった。また、5月4日のゴールデンゲームズ in のべおかに照準を合わせており、「あまり調整せずに臨んでいた」とも話す。山口がそんな状態であることを、吉岡ら他校の選手も把握しており、いずれは集団に吸収されると判断し、あえて追わなかった。
しかし、山口自身も思っている以上に調子が良かった。何より、再びペースを上げると、そのペースが見事にハマった。そして、4000mを前にじわじわと後続を引き離す。そこからは山口の独走レースになった。
「これで勝てるとは思ったんですけど、油断したらすぐにやられる差だったので、冷や冷やしながら走っていました」
レース中の胸中をこのように明かす。
7000mを過ぎて脚が動かなくなり、「やめたいなと思った」と言うが、「ここで止めたら後悔が残る」ともう一踏ん張りし、見事に1着でフィニッシュした。記録も27分台の大台に乗せた。
「この大会は記録を狙う場ではないので、27分台は全く意識していなかったです。それでも、自分でレースを作った中で27分台を出せたので、強さの証明ができたかなと思っています」

