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ボクシングPRESSBACK NUMBER
中谷潤人が眼窩底骨折、井上尚弥“あの右アッパー”には2つの伏線があった…「衝撃のシーンでした」怪物と最も拳を交えた男が驚いた、井上の“ある動き”
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/05/07 11:04
11ラウンド、勝敗を決定づけた井上尚弥の右アッパー
試合中盤、井上は戦術をガラッと変えていた
中谷が攻勢を強めた9ラウンド。中盤から井上は足を使い、外側のポジションを取り、時計回りをしながら左ジャブを当てていく。これまでとリズムと距離を変えた。試合後、「8、9、10ラウンドあたりは捨ててもいいかな」とペースダウンを明かした。
――ポジショニングでいうと、それまでは中谷選手のほうが外側を取っていましたよね。
「そうなんですよ。基本的には中谷選手が外を取っているんですよ。まあ、井上選手はファンカルロス・パヤノ戦でもそうでしたが、あまり外側、内側のポジションにこだわらない選手です。ですが、『捨ててもいい』というラウンドであっても、とにかく先にパンチを当てる、絶対に左を被弾しない、ということを徹底していたと思います」
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――外側のほうが被弾するリスクも回避できるわけですね。
「例えば、内側からワンツーを打つじゃないですか。パヤノ戦のフィニッシュとなったワンツーですね。あれも打った後、足のバランスを崩していました。相手に近い距離だと、打ち終わりに被弾する可能性も高まります。ですが、外側のポジションだと、相手の左手から遠くなるのでリスクは下がりますよね。井上選手はあの場面で、そういう闘い方を選択し、実行したんだと思います」
11ラウンド、井上の右アッパーはなぜ決まったか?
10ラウンドを終えた時点で、採点は97-93、95-95、96-94と2-0で井上優勢ながら、残り2ラウンドの展開次第では結果がどう転ぶかわからなかった。そして、11ラウンドを迎える。
――結果として、試合を決定づけたのは井上選手が11ラウンドに放った右アッパーです。中谷選手が左目を負傷した、あの右アッパーをどのように見ましたか?
「中谷選手が距離を縮めたことによって、これまで出していなかったアッパーを打つようになりましたよね。井上選手ってネリ戦、アフマダリエフ戦でもサウスポーに対しての右アッパーがめちゃくちゃ上手い。相手がサウスポーだと、井上選手の右手の真正面に立っているので、やっぱり当てやすいんですよ。距離が近くなった分、あのアッパーを出しやすくなったと思います」
――狙っていたと。


