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「誰がジュントの相手する? お前やれよ」ロサンゼルス界隈に残る“恐怖伝説”…中谷潤人の師ルディ・エルナンデスが語る「普通じゃなかった」生徒の異貌
posted2026/05/06 06:00
プロ33戦目にして初黒星を喫した中谷だが…
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takuya Sugiyama
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ルディ・エルナンデスは愛弟子の中谷潤人をこう形容する。
「ジュントは、複雑なボクサーだ」
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その言葉が指すものとは何か。そして、「ベストになるために、我々は、ベストに勝ちにいく」と言い切る名トレーナーの目に、モンスターとの大一番はどう映っていたのか。
「こんな少年を見たことがなかった」
32戦全勝24KO、世界3階級制覇。中谷の強さはアウトボクシングも近距離戦もこなす万能型として知られるが、ルディに言わせれば「毎ラウンド“別人”になれる」柔軟さこそが真骨頂だ。それを支えるのは、少年時代からスパーリングを軸に積み上げてきた鍛錬である。
「スパーは練習。試合じゃない。相手を打ち負かすのが目的じゃない」
そう言いながら、ジムに誰かがいればルディは片っ端から手合わせを申し込んだ。中谷は「こんなにスパーして大丈夫なのかな」と不安になりながらも食らいついた。やがて中谷は、ロサンゼルス界隈で評判になり、「今日は誰が相手する? お前やれよ。いや、お前がやれよって」と他のボクサーを戦々恐々とさせるほどになった。
ルディが中谷を「スペシャルな生徒」と呼ぶのは、天才的な身体能力があったからではない。
「一つ新しいことを教われば、それが完璧に自分のものになるまで、自分に一切の妥協を許さない。こんな少年を見たことがなかった。その姿勢は今も変わらない。私はジュントを100%、信じることができる」
“やせっぽっちの少年”の進化
その信頼は双方向だ。中谷もまた、「ルディや(岡辺)大介さんが言ってくれることを試すと、あ、本当だ!ってなるんです。毎日のように新鮮な発見があります」と語る。
井上戦を前に、ルディは「とんでもなく難題なのは間違いない」と認めつつも、怯む気配はまったくなかった。やせっぽちの体に鋼の意志を宿し15歳でアメリカに渡った少年は、ボクシング史に残る一夜に向けてどんな進化を遂げてきたのか。本編では中谷のエピソードがさらに詳しく描かれている。
〈つづく〉
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