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「イノウエも予想外だったのでは…」井上尚弥に“誤算”はあったのか? “PFP1位”に票を投じた英記者が、それでも中谷潤人戦に“A評価”をつけなかった理由 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2026/05/04 11:55

「イノウエも予想外だったのでは…」井上尚弥に“誤算”はあったのか? “PFP1位”に票を投じた英記者が、それでも中谷潤人戦に“A評価”をつけなかった理由<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

中谷潤人に判定勝ちを収めた井上尚弥(33歳)。これでデビュー以来の連勝を「33」に伸ばした

 ナカタニ戦のイノウエを採点するなら私は「Aマイナス」をつける。

 序盤から中盤はジャブや右ボディを有効に使い、僅差のラウンドを制していった。より正確な戦い方でより若き後輩王者を上回った。ノックアウトで勝つか、完全に圧倒していれば別だけど、そうではなかったから、AやAプラスは付けられない。そこまでの評価を与えるにはもっと明確なステートメント――たとえばナカタニを吹き飛ばすとか、完全に格の違いを見せつける必要があったが、そんなパフォーマンスではなかった。

 本人は認めないかもしれないけど、イノウエはナカタニにここまでの抵抗を受けるとは思っていなかったのではないかなとも思う。もちろん推測だが、これほど厳しい試合になるとは予想していなかったのではないか。終わってみて、“思ったよりずっとタフだった”というのが正直なところじゃないかな、というのが自分の直感だ。

「PFP1位に推したい」その理由

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 とはいえ、“今のイノウエはまだ全盛期の力を保っているのか”と問われたら、私は依然としてイエスと答える。もしピークを過ぎていたとしても、肉眼では分からないレベルだ。今では階級を上げて、より若く、大きい相手と戦っているということを忘れるべきではない。今回のナカタニにしても、下から上げてきた選手とはいえ、もともとフレームに恵まれており、イノウエよりもかなり大きく見えた。そういった選手たちを下し続けているのだから、イノウエはやはりとてつもないチャンピオンだ。

 パウンド・フォー・パウンド・ランキングでも私はイノウエを1位に推したい。今戦前の時点で2位だった選手が、6位にランクされた無敗のエリートボクサーに勝つという価値のある勝利を挙げたのだから。私は現1位のオレクサンデル・ウシクも高く評価しているが、現実問題として5月23日に予定する彼の次の試合の対戦相手はボクシングでは何の実績もないキックボクサーだ。他のトップランカーたちも試合頻度が落ちている中で、イノウエは精力的にリングに上がり、対戦相手の質も高い。それらは賞賛されるべきだし、私の中では彼がナンバーワンだ。

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