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「圧倒的すぎる…」敵も恐れた“超人”田中瑞稀30歳の勝負強さ「でも苦しんでいた時期もあった」誰にも見せなかったキャプテンの涙〈SVリーグ決勝ウラ側〉 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2026/04/29 17:01

「圧倒的すぎる…」敵も恐れた“超人”田中瑞稀30歳の勝負強さ「でも苦しんでいた時期もあった」誰にも見せなかったキャプテンの涙〈SVリーグ決勝ウラ側〉<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

大阪マーヴェラスを2年連続でファイナルまで導いたキャプテン田中瑞稀(30歳)。連覇は逃したが、圧倒的な存在感を放った

 2014年1月の春高バレーで、九州文化学園高(長崎)のエースだった田中は東九州龍谷高(大分)との決勝に臨んだ。最初の2セットは東九州龍谷が完璧に近い展開で連取した。0対2で迎えた第3セット、不利の状況から気を吐いたのが田中だ。

 前衛時はもちろん、後衛に下がってからもコートの至るところから打ち続け、ことごとく決める。田中の活躍で第3、4セットを奪い返した九州文化学園高は、第5セットでも10度のジュースの末、25対23で崖っぷちからの逆転勝利。同校9年ぶりとなる春高優勝を決めた最後の1点もまた、田中のバックアタックだった。

 決勝で田中が放ったスパイクは115本。しかも、チーム最多の49得点を叩き出した。同年、男子では石川祐希が主将でエースとして活躍した星城高(愛知)が2年連続で高校主要タイトルをすべて制し、前人未踏の“六冠”を達成したが、それすらも上回る強烈なインパクトを残した田中の勝負強さは、バレーファンの間では“伝説”として語り継がれることになった。

「ミキさん」に憧れた19歳福村

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 実は、この試合をスタンドで観戦していた少女が今、大阪マーヴェラスにいる。昨年4月にチームに加入した福村心優美(こゆみ)だ。

 当時7歳。バレーボールを始めたのはその2年後で、まだ何もわからなかったが母に連れられて初めて見た春高で、とんでもない選手がいたことだけは覚えている。

「高校の時もしょっちゅう九文の田中さんの話題は監督からも出ていたし、今でもあの決勝を見るとすごいなと思う。まさか自分が一緒にプレーをすることになるなんて考えもしなかったですけど、近い場所から見れば見るほど、ミキさん(田中の愛称)はとにかく頼れるし、ミキさんなら大丈夫、とみんなが信頼している。あの背中を追いたくて、ああいう存在になりたくて、自分も今、エネルギーを蓄えているところです」

 ちなみに、“伝説”から10年後の2024年1月、福村は2年生エースとして就実高(岡山)を2年ぶりの春高優勝に導き大会MVPも受賞している。

【次ページ】 リベロ西崎「自分が辞めるまでは辞めないで」

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