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「ずっと龍一くんが励ましてくれて…」《りくりゅう引退》支え合う2人の軌跡…本人たちが語っていた“最後の五輪”への覚悟「自分たちを信じるだけ」
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto / JMPA
posted2026/04/21 11:04
引退を発表した木原龍一と三浦璃来の「りくりゅうペア」。直前のアクシデントも乗り越え、ミラノ五輪では金メダルを獲得した
冒頭の3回転ツイストリフトを決めてからは、技一つ一つに集中した。木原は言う。
「滑り始めは動揺が見られたんですけど、去年と違ったのは、そこからしっかり自分たちらしい強い気持ちにフォーカスできたこと。成長を感じました」
演技を終えると、三浦はそのまま左肩を押さえてうずくまる。不安から解放されて涙目になる三浦を、木原が支えるようにして、リンクサイドのコーチのもとに戻った。
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「とにかく無事に、リフトで落下せず終われて良かったと思いました」(木原)
得点は84.91点。国内戦とはいえ、世界記録を上回る高得点だった。
「70点台後半が出れば十分と思っていたので、びっくりしました」(三浦)
まさに世界王者の凱旋といえる渾身の滑り。五輪直前の全日本選手権で、成長の手応えを掴んだ。
SPでは会心の演技も…フリーは棄権
しかしフリーは棄権となった。
「無理をして出て、新しい怪我をしてしまうと、さらに3~4週間の練習時間を失うことになります。今休めば、来週からは練習に復帰できる。五輪のことを考えて、大事を取って欠場という判断に至りました」(木原)
三浦も続ける。
「五輪前に怪我をしてしまったことで、私自身すごく落ち込みました。でも周りの方々から『怪我したことは仕方ない。ここからどう気持ちを切り替えて、五輪までの1カ月を積み重ねるかが大事』と言われて、強い気持ちになれました」
全日本選手権では披露できなかったが、フリーに準備しているのは、イタリア開催の五輪で王者をめざすべく選んだ一曲。映画『グラディエーター』である。この選曲については、シーズン初戦の木下グループ杯でこう語っていた。
「聞いているだけで気持ちが上がってくる、2人がずっとやりたかった曲。ただグラディエーターは剣闘士のイメージが強く、自分たちには合わないと思っていました。でも振付師のマリー先生から『自分たちの道は自分たちで切り開くというテーマで演じる』とのアイデアをいただいて、『そういう考え方もあるんだ』と思いました」(木原)

