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深夜の食堂で「バットを横に猛勉強」!? 異色の留学生選手が「野球名門校から東大合格」の衝撃「甲子園を逃した」悔しさ糧に…“究極の文武両道”秘話 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2026/04/18 11:00

深夜の食堂で「バットを横に猛勉強」!? 異色の留学生選手が「野球名門校から東大合格」の衝撃「甲子園を逃した」悔しさ糧に…“究極の文武両道”秘話<Number Web> photograph by Yu Takagi

この春、東大に合格した台湾からの留学生・李玟勳。茨城の名門・明秀日立では4番を打つこともあったという

「まさに血のにじむような努力を見てきたからね。やっぱり思わず抱きしめたくなりました」

 そう笑って振り返るように、合格の報告に訪れた李と久々に再会すると、思わずハグを交わした。李も「見たことのない監督の姿でした(笑)」と驚いた。

 もちろん留学生ならではの苦労もあった。

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 現役時には、東大以外にも東京理科大、慶應義塾大、立教大、法政大、千葉大(後期)と受験したが、合格は立教大と法政大のみ。東大の不合格を知った瞬間に1浪しての再挑戦を決めていたが、前期は立教大に通った。留学生の場合、浪人生という立場では日本の滞在ビザが下りないからだ。そのため立教大でも単位取得のために大学へ通い、それと同時に東大合格を目指すための予備校にも通った。

監督に「次に会うのは合格してからです」の決意

 6月に神宮球場で行われた全日本大学選手権では、明秀日立の同期や先輩も数多く出場し、金沢監督も上京。その際に観戦や食事に誘っても「監督と次に会うのは東大に合格してからです」と言ってのけ、その覚悟に金沢監督は感服したという。

 夏休み前までは成績も伸び悩んだが、前期でビザの更新に必要な単位数を取得できたため、夏休み以降は「(住まいと予備校のあった)御茶ノ水からは出なかったほどでした」と笑うように、東大合格に全身全霊を注いだ。

 一心不乱に机に向かうと、気づけば1日15時間も勉強に費やしている日もあったほど。金沢監督も「自分は何もできなかったですけど、唯一役に立てたのは、うちの練習で培った集中力、体力、持続力なのかなと思います」と話すように、野球部時代に身につけた逞しさが役立った。

【次ページ】 単なる「文武両道」以上の意味を持つ李の合格

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