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核心にシュートを!BACK NUMBER
日本代表vsイングランド展望&予想スタメン…じつはGK鈴木彩艶のキックが生命線では「トゥヘル式ハイプレスを利用して」9万人の聖地を黙らせる策とは
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2026/03/31 18:41
イングランドの選手と指揮官が激しい杯プレスを仕掛けてくるだろう中で、鈴木彩艶が生命線となる理由とは
「例えばブラジル戦の後半は、裏まで行かなくても、高い位置に落とせれば……」(鈴木彩艶)
実際、この戦略は成果を上げている。昨年10月、逆転勝利を飾ったブラジル戦では3得点のうち2得点が、鈴木彩艶が〈DFラインの手前〉に落ちるようなボールを蹴ったところから生まれていた。相手が触ったとしても勢いが落ちているため、あるメリットが生まれる。
鈴木彩艶は語る。
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「相手がヘディングしたとしても(ボールは)飛ばなくて、自分たちがセカンドボールを取れたり。(裏と手前の)両方を使い分けながらですね。最初から近いところ、近いところとなると(相手のプレスが)前に勢いを持ってきてしまう。なので長いボールは有効になるかなと思います」
渡辺剛が脱帽するロングボールの質
鈴木彩艶の配球が物凄いレベルにあると証言する選手もいる。渡辺剛だ。「ロングボール」については一括りにされがちだが、前述した内容について、渡辺はこう話す。
「彩艶は〈裏〉にも〈手前〉にも(質の高いボールを)自由に蹴れるので、それは僕らの武器。追い込まれたときに、彼がロングボールを(手前に)飛ばしてセカンドボールを中盤の選手が拾いに行くこともできる。ブラジル戦でもそこからチャンスを作っていましたし……」
渡辺は普段、センターバックとして相手のロングボールをはね返す立場である。だからこそ、鈴木彩艶のキックの質には脱帽する。
「僕が逆のチームだったら……」
仮定の話として、手前にも裏にも蹴れる鈴木彩艶がいるチームとの対戦は大変なのだという。理由はこうだ。
「なぜならセンターバックとしては、予測してどちらかに動くというのができないから。『裏に来る』と思って手前に蹴られたときには後手を踏んでしまいます。だからといってセンターバックとしては(手前に落としてくると見越して前に出ていく)ギャンブルはできないので」
ハイプレスをかける側の最終ラインは、前線が押し出た分だけ高い位置に設定される。
つまり、日本がロングボールによる脅威を示さなければ、イングランドのDFラインは安心して高い位置を保ち続けられる。しかしロングボールという選択肢を相手に意識させられると、DFラインは下がらざるを得ない。さらにラインが下がれば、前線の選手はプレスの強度を維持できなくなる。
コンマ数秒の認知と決断の中で
ただしロングボールはあくまで手段であり、目的ではない。渡辺は核心的な視点を示した。
「コーチ陣からの分析で、イングランドのプレスでも(強度はあったとしても)連動しきれてない部分もあるので、そこは突けるとは思います。まあ、うちには彩艶がいるんで、一発で裏とか(手前にポジションをとる上田)綺世の頭を狙ってチャンスを作れるかなと思います」
〈相手のプレスの中でも連動しきれていない部分がある〉
ここが重要だ。

