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侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「ヒロミが批判を受けているけど…」侍ジャパン“戦犯探し”にヌートバー心痛める「イバタサンにもチャンスを」愛する仲間たちを今も“We”と呼ぶ理由
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2026/03/27 11:07
リハビリに励む中、現地で見届けた侍ジャパンのWBCを振り返ったラーズ・ヌートバー(28歳)
こうしてWBCを振り返り、日本の頑張りも労ったヌートバーが、一度だけ残念そうな声のトーンを隠さなかったことがあった。大会後、“日本敗戦の戦犯”として指摘されたものたちが激しい批判にさらされていることに関して話した時だ。中でもフィールド上の指揮官としての業務だけではなく、メンバー選定時からGM役も果たし、去年のMLBシーズン中にはシカゴで直接対面もしたという井端弘和監督には同情的だった。
「イバタサンに批判の声が出ていることは知っている。チームが勝てば監督もチームも称賛されるけれど、負ければ責任を問われるものだ。日本は毎回少なくとも準決勝までは進んで来たし、前回王者ということもあって、最初から大きな重圧を背負っていた。日本を含め多くの国が本気で取り組んでいる中で、監督が複数の役割を同時にこなすのは簡単じゃない。実際にその立場に立った人にしか分からない難しさがある。イバタサンはその役割に就いた時点で、結果が出なかった時に多くの批判を受けるという覚悟はしていただろう。ただ、それが正当かどうかは別の話だと思う」
「またチャンスが与えられてほしい」
もちろん勝てば絶賛され、負けた時には叩かれるのはプロの宿命ではある。それでも国民からの連覇への期待度の大きさ、投手陣からの辞退者の多さなどから、もともと難しい仕事だったというヌートバーの指摘は真実だったに違いない。そして、今回はロースターに入っていなくても、現場の空気を理解し、日本とアメリカ両方の心を持った思慮深い日系アメリカ人は静かにこう続けた。
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「負けたときは誰かが批判を受けがちではあるけれど、チームの選手たちに聞けば、監督のせいだとは言わないと思う。ヒロミ(伊藤大海)も批判を受けているけど、本来はチームスポーツだし、もっとできたはずだと感じている選手は他にも多いと思う。勝てば全員の勝利だし、負ければ全員の敗戦。結果的にすごくいいチームと当たっただけで、誰か一人の責任ではない。イバタサンが辞意を表明したのは分かっているけど、今回批判された人たちにも、またチャンスが与えられてほしいと私は願っているよ」
たった一つの勝敗が深く分析され、戦いを終えた後には責任のありかも話し合われる。勝った場合にはヒーローになるが、負けた時は戦犯として槍玉に挙げられることもある。すべては日本における侍ジャパンの期待度の大きさからくるものなのだろう。それと同時に、これもまた決勝トーナメント以降は一発勝負であるWBCのようなトーナメントに付随する特徴でもあるに違いない。ヌートバーの切実な言葉からは、WBCの魅力と、その怖さが改めてわかりやすい形で伝わってくるようでもあった。〈後編につづく〉

