テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「僕のユニホーム欲しいの?」チェコに神対応した大谷翔平がWBCで“まさかのバント安打”「野球小僧になった時…」栗山監督の大谷評が深い
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byYuki Taguchi/Getty Images
posted2026/03/14 11:02
2023年WBCチェコ戦での大谷翔平。3年前のWBCでも“神対応”をしていた
「無理に引っ張って併殺になるのが最悪なシナリオ。リスクを回避しながらハイリターンが望める選択をした」
がら空きの三塁側へ転がった打球を処理した相手投手の悪送球も誘い、一、三塁にチャンス拡大。内野手が極端に右寄りに守る「大谷シフト」の裏を突いて破った。続く4番吉田正尚の遊ゴロの間に先制点をもぎ取った。
「あの場面、日本代表の勝利より優先する自分のプライドはなかった」
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心は熱く、頭は冷静に。一挙4点のビッグイニングを演出した。
独特の緊張感は自分の中で特別なもの
「投手・大谷」も気合十分だった。
初回から気持ちを前面に押し出し「オリャッ!」という叫び声が何度もこだました。2回先頭のパスクアンティノにメジャー移籍後最速となる102マイル(約164.1キロ)の外角直球で空振り三振。2016年CSファイナルS、ソフトバンク戦でマークした自己最速165キロにあと0.9キロと迫る剛速球で沸かせた。5回に2死球などで2死満塁を招き、161キロの直球で詰まらせた打球が右翼手の前に落ち2失点。
投手としては4回2/3を71球で4安打2失点、5三振。5回2死一、三塁と走者を残しての降板となったが、9日の開幕・中国戦に続き勝利投手に。11日のチェコ戦で三盗を試みた際に、左膝を派手にすりむき、この日は左膝にサポーターのようなものを着け出場。万全ではない中で、投打でけん引した。
「久々の短期決戦。最近ではあまり経験していなかった。独特の緊張感は自分の中で特別なものがある。あとふたつですけど、優勝を目指して頑張りたい」
野球小僧になった時、彼の素晴らしさが
シフトをあざ笑うバントも、投げる度に雄たけびを上げる姿も、エンゼルスで何度も見せてきた。日本ハム時代、バント安打は一度もなかったが、メジャー移籍後は勝つためにパーフェクト投球中の相手に不文律を破って繰り出すこともあった。
「この試合、絶対に勝ちにいくんだと野球小僧になった時に、彼の素晴らしさが出てくる」
と栗山監督。世界一までの残り2試合は打者に専念する見込み。投げて打って、走って、米国行きチケットをつかみ取った。〈つづく〉

