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大谷翔平の満塁弾でも源田の1ミリでもなく…WBC侍ジャパン、コールド劇の陰で光る藤平尚真の“完璧な火消し” 53球交代の山本由伸には”厳密な投球制限”が
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/03/07 17:15
WBC台湾戦で先発の山本由伸の後を受けて、満塁の場面で登板した藤平尚真。注文通り三振を奪い”見事な火消し”を遂行した
「山本投手の球数が決まっていましたから。どのイニングでも球数で代えるというところで(の交代だった)」(井端監督)
山本だけでなくメジャーリーガーたちは派遣している所属球団から厳密な投球制限が設けられていて、その中でやりくりをしなければならない。山本の場合はおそらくこの試合での球数を60球以内に抑えることが要求されていたことでの交代だった。
もちろんこうした状況は十二分に予想できていたので、対策も万全だった。
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「今日は山本と藤平をセットにして待機させていました。ツーアウト満塁で、一番厳しい場面になってしまったんですけど、あそこを藤平がきちんと抑えてくれたのは大きかった。彼にとってもいい経験になったのではないかと思います」
藤平の“完璧な火消し”「三振を狙って」
指揮官の期待を背に送り出された藤平も完璧な火消しで応える。
「試合前のミーティングから高めの真っ直ぐと低めのフォークでしっかりゾーンを投げ分けていこうということだったので、その通りの投球ができたと思います」
こう語った藤平が対戦したのは、台湾代表の3番を任される西武の林安可外野手。初球はフォークから入って見逃しのストライクを取るとボール、ファウル、ボールでカウント2ボール2ストライクとして最後は落差のあるフォークで空振り三振に切ってピンチを脱出した。
「前に飛ばないアウトの取り方が1番だと思いますし、中継ぎの一個のアウトのとり方としてはそれが一番だと思うので、三振を狙いに行ってとりました。あそこで僕が点を取られたら、由伸さんの自責点になってしまって防御率が上がってしまうので、何としても0で抑えていこうと思っていた」
三振を狙って、狙い通りの三振でピンチを切り抜けた。中継ぎのスペシャリストとしての存在感を示しての完璧な火消しだった。
平良海馬投手(西武)、石井大智投手(阪神)、松井裕樹投手(サンディエゴ・パドレス)と呪われたように次々と中継ぎ陣に故障離脱が続いた投手陣。残ったリリーフの専門職は平良の代替えメンバーとして選出された藤平に大勢投手(巨人)と松本裕樹投手(ソフトバンク)の3人だけだ。
藤平が語った「リリーバー専門職の強み」
特に問題だったのはこの台湾戦のように回の途中の走者を置いた場面での継投だ。
いつ出番が回ってくるか分からない状況の中で、身体と心の準備をしっかりできる。この試合もゲーム開始から登板に向けて心身の準備をするなど、そこもリリーバー専門職の強みとなると藤平は言う。


