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WBC連覇のカギを握る“大谷翔平の状態”…大谷スイッチはいつ入る?「思い出すのは2009年大会のイチローの姿」井端弘和監督の1番起用は“いい決断”か
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/03/05 17:17
侍ジャパン合流後、強化試合を経ていまだ本調子でない大谷翔平。果たしてWBC本番での爆発はあるのか?
「きっちりスイングしているので、本番になったらきっちり結果を出してくれるのではないかと思います」
こう語っていたのは阪神戦後の井端弘和監督だった。
もちろん相手は大谷だ。信じるしかないのは監督とて同じである。本調子でないことはわかっている。ただ、大谷の本番での強さ。大一番でスイッチが入ったときの変貌ぶりに託しているのである。
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そんな思いは監督だけではない。コーチやチーム関係者も、そしてアメリカで大谷を取材してきた番記者も、揃って「大会が始まればガラッと変わりますよ」と証言する。
だって相手はあの大谷翔平なのである。
2009年大会のイチローの姿を思い出してしまう
その言葉を信じたいと思うのはもちろんだが、一方で思い出してしまうのが、2009年の第2回大会のイチロー外野手の姿なのだった。
01年からシアトル・マリナーズでプレーしたイチローは04年に262安打を放ってメジャーリーグのシーズン最多安打記録を更新。その後の06年から大会前年の08年まで3年連続リーグ最多安打を記録(最多安打は10年まで5年連続でマーク)。まさにプレーヤーとして全盛期を迎えた中で2度目のWBCへの参戦だった。
宮崎での事前キャンプから参加したイチローに、チームを率いた原辰徳監督も絶大な信頼を寄せ「3番」で起用する構想で大会への準備を整えていった。
ところが、である。
大会を目前にしてもイチローの状態が一向に上がってこなかった。宮崎で練習試合2試合を消化した後、チームは京セラドーム大阪でオーストラリアと2試合、東京ドームで西武、巨人と2試合の強化試合4試合を行った。その4試合でイチローは18打数3安打。しかもその3本はいずれも内野安打で、あのシャープなフリから放たれた鋭い打球を見ることができなかった。
強化試合最終戦で原監督はイチローの打順を3番から1番に変更。しかし、不振は解消できないままに、チームは3月5日の中国戦から大会に突入した。イチローは初戦の中国戦でノーヒットに終わると、決勝戦までの8試合で38打数8安打、得点圏に走者を置いた場面では13打数2安打とベンチとファンの期待を裏切り続けたのである。
「想像以上の苦しみ、辛さ、痛みを経験した」
しかし最後の最後の韓国との決勝戦、同点で迎えた延長10回の劇的な勝ち越し安打で全ては解消されることになる。


