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「自分なりのオリンピックの勝ち方が実現できたのかな」五輪2大会連続銀メダル・鍵山優真が語った「金メダルは、僕の中ではオプション」の真意
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto / JMPA
posted2026/03/11 06:18
五輪2大会連続で銀メダルを獲得した鍵山優真
「やっちゃったなあ、という感じ」
好調を維持したまま、2月10日の個人戦ショートを迎える。演技前半は、極上の4回転トウループと4回転サルコウで加点を稼ぐ。しかしトリプルアクセルが回りすぎて、ステップアウトした。
「やっちゃったなあ、という感じでした。身体がめちゃくちゃ動いていて、回転が抑え切れませんでした。公式練習から本番まで時間が短かったので、身体がキレキレのまま、思っていたよりも浮き上がっちゃったと思います」
一般的な試合では、朝に練習し、昼寝をしてから夜に本番を迎える。だが今回は夕方に練習があったため、選手村で休む時間がなかったのだ。ただ、五輪特有の空気でメンタルを崩したがゆえのミスではない。むしろ後半はノリの良いステップで、演技中に観客席をあおって盛り上げた。
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「アクセルは落ち込むようなミスではありません。むしろステップでは手拍子が本当に嬉しくて、観客の皆にスキップしながら帰ってもらえるように、楽しく終えることを意識しました」
小さなミスはあっても、結果は103.07点の高得点で2位。首位と5.09点差につけたことを記者に聞かれると、リラックスした表情で答える。
金メダルは、僕の中ではオプション
「金メダルは、僕の中ではオプション。あとから付いてくるもの。フリーは4回転フリップを久しぶりに投入するので、悔いのない演技をすることが目標です」
五輪のフリーへ向けて、考え尽くした言葉だった。
この4回転フリップは、今回の五輪のカギとなる戦略である。日本のエースとなってからの2年、鍵山は世界王者への道を試行錯誤してきた。ライバルは「4回転6種類」を操るマリニンにほかならない。昨季は、確実に跳べる4回転2種類に加えて、4回転フリップやルッツを練習した。しかし1位を狙えば狙うほど成績は不安定になる。最終的に、今季はショートもフリーも4回転は2種類にして、質で勝負する作戦に落ち着いた。ところが全日本選手権で五輪代表が確定すると、メディアに宣言した。
「オリンピックでは4回転フリップを入れます」
父には相談しなかった。2度目の五輪に挑むエースとして、天性の嗅覚で「フリップ投入」を決めていた。
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