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千葉百音に寄り添い、坂本花織を守った“苦労人スケーター”の素顔「愛称はマミー」「家族みたい」アンバー・グレン26歳を日本選手も米国若手も慕う理由
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph bySunao Noto/JMPA
posted2026/02/25 11:03
4位となり涙を流す千葉百音に寄り添ったアンバー・グレン(米国)
試合後、千葉は言った。
「アンバー選手は、心の芯の強さをひしひしと感じる試合が多いです」
坂本はこう話している。
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「9月のロンバルディア杯に一緒に出て、(グレンが優勝し)初めての国際大会優勝だと聞いて驚きました。20代半ばの選手が国際大会で活躍する姿はほんとうに素晴らしいと思います。同世代に近い選手が頑張っている姿を見ると、自分も挑戦し続けようという気持ちが湧いてきます」
若い選手から「マミー」と呼ばれる素顔
二十歳からと、かなり遅い時期から取り組み始めてトリプルアクセルを習得したこと、その背景にある、自分の可能性を信じてチャレンジする姿勢は、日本の選手にとって敬意を抱くものであった。それをグレンに対しても、素直に伝えていた。
そんなグレンは、アメリカの若い選手から「マミー」と呼ばれていたのだという。その理由を記者会見で尋ねられ、こう答えている。
「どこに行くにしても、大きなバッグを持ち歩いています。みんなが必要になりそうなものを入れていて、バンドエイドも、ヘアピンも、ヘアスプレーも、お菓子も、それを必要な子に渡しているからだと思います」
「スケートの世界は小さなコミュニティで、家族みたいなものです。私はいいおばさんか、お母さんみたいなものかもしれません」
さらにこう話してもいる。
「自分のメンタルヘルスについてもオープンにしているので、悩んでいるときに相談に来るのだと思います」
グレンは以前から、性的マイノリティであることとともに、不安障害とADHDを抱えていることを公表してきた。それに向き合いつつ、乗り越えて競技者として進んできた歩みも、グレンに注がれる敬意に含まれていただろう。

