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千葉百音に寄り添い、坂本花織を守った“苦労人スケーター”の素顔「愛称はマミー」「家族みたい」アンバー・グレン26歳を日本選手も米国若手も慕う理由
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph bySunao Noto/JMPA
posted2026/02/25 11:03
4位となり涙を流す千葉百音に寄り添ったアンバー・グレン(米国)
20歳で始めた“トリプルアクセルへの挑戦”
グレンは、長らく国際大会の表彰台に縁のない選手だった。グランプリシリーズは18歳の誕生日を迎えた2017-2018シーズンから参戦しているが、成績は上がらなかった。
コロナの影響でほぼ全米大会となった2020年のスケートアメリカで5位になったのが最高順位。各国の選手が参加する通常開催のもとでは、2021-2022シーズンまでの最高順位は6位に過ぎなかった。むろん、オリンピックや世界選手権には届かない位置にいた。
成績が大きく変化したのは、2022-2023シーズンだった。スケートアメリカで3位になり、グランプリシリーズで初めて表彰台に上がったのである。全米選手権でも3位となり、世界選手権初出場を果たすと、大会では12位の成績を残した。
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変化をもたらしたきっかけは、2020年に取り組み始めたトリプルアクセルにあった。コロナによってリンクが閉鎖され練習もできなくなった中で、キャリアを考えた。
「20歳になって、スケートにどれだけの時間が残されているか分からない、ここで終わらせたくないと思いました」
そしてこう話している。
「もっとできると分かっていました」
同時に「オリンピックを目指す」と決意した。そして始めたのがトリプルアクセルへの挑戦だった。
千葉百音が語った「アンバー選手の心の強さ」
やがてトリプルアクセルを習得。先のスケートアメリカで成功させて3位となったのである。
トリプルアクセルへの挑戦に込めた決意は、その習得のみにとどまらず成長を促した。2024-2025シーズン、一気に開花する。グランプリシリーズ2戦ともに優勝し、初めて進出したグランプリファイナルでも優勝したのである。
このファイナルは、グレン以外の5人はすべて日本の選手で、グレンの滑走時、グリーンルーム(その時点で3位までの選手が待機する部屋)には坂本花織、千葉百音、樋口新葉がいた。グレンの優勝が決まると、3人が笑顔で拍手し、一緒のポーズをとって祝福する姿があった。

