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「日本人が事業・運営に…活躍できると」東大卒60歳“欧州クラブ共同オーナー”が語る経営の実態「我々はマンCでもバルサでもバイエルンでもなく」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph bySoccrates Images/Getty Images

posted2026/02/02 11:03

「日本人が事業・運営に…活躍できると」東大卒60歳“欧州クラブ共同オーナー”が語る経営の実態「我々はマンCでもバルサでもバイエルンでもなく」<Number Web> photograph by Soccrates Images/Getty Images

フェイエノールトに渡辺剛と上田綺世が所属するなど日本人選手も多いオランダだが、「共同オーナー」として2部クラブに携わる東大卒の利重氏に現地のリアルを聞いた

「実際に始めたプロジェクトとしては、街の魅力を前面に押し出すことです。マーストリヒトはマンチェスター・シティでもバルセロナでもバイエルンでもマンチェスター・ユナイテッドでもない。しかし地政学的にはドイツやベルギーとはすぐ近くで、日本でも著名なクラブが1~2時間の範囲に存在する。また街自体も、オランダのブランドランキングでアムステルダムを抜いて1位になりました。観光客が非常に多く、大学も有名で留学生も多い。治安もよく、名所になりうる街です。

 そんなソフト面やネットワークを活用して、日本から育成年代を中心に選手や指導者が、ヨーロッパでの遠征やキャンプ、強豪クラブと試合をしたり大会に参加するためのハブになれるかなと考えた。そこでMVVマーストリヒト・フットボール・ハブというサイトを立ち上げました。まだ詳しくは言えませんが、今夏に日本の世代トップクラスの選手を集めて、強豪クラブとの大会を開催して、徐々に大きくしていこうと考えています。日本の方にとってのマーストリヒトは、EC条約が最初に批准された都市であり、著名なバイオリニストのアンドレ・リュウが生まれた街です。それをサッカーの聖地にしたいです」

オランダとJ2…経営などに違いはあるのか

――サッカーをより広い枠で捉え、その中で関係を構築していくのですね。

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「この前、2006~07年に名古屋グランパスの監督をされていたセフ・フェルフォーセンさんと会ったんです。彼も指導者や選手に周辺クラブを紹介して練習参加や指導体験をする機会を作っていた。そういう個人レベルだけでなく、クラブ自体が先導する。経営参画しているからこそ得られるノウハウやネットワークを使いながら、日本のサッカーにプラスになるものを進めていく。協会やリーグとも然るべきタイミングで話を始めていますが、形にできた暁にはそんなことも可能かなと思います」

――オーナー側の経営層について、例えば日本のJ2などと簡単な比較をしていただけないでしょうか。

「似ている面とそうでない面があります。まずステークホルダーのかかわり方、彼らの巻き込み方は同じだなと感じます。今はスタジアムの状況もそんなに良くないので、その権利関係やハード面など、よりよいものをクラブが持つためには、行政とのかかわりは必要となる。たとえば新スタジアム構想に税金が投入されるべきか、これは日本でも当然問題になることですからね。

 違うところはやはりサッカーに対する意識です。日本もプロができて30数年経ち、それなりのポジションを得ました。ただそうはいっても税金を当たり前に投入すべきという風にはならない。スタート時点の位置づけが、歴史的にも社会性としても違うので、経営での大きな違いになっています」

オランダ人は日本人と比べて“働かない”

――そういった背景の差を実感しているのですね。

【次ページ】 働き過ぎて嫌がられることはあっても

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