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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
WBC初選出…ドラフト6位→トミー・ジョン手術から覚醒「青森生まれの青森育ち」27歳・苦労人投手の正体 ベテラン記者が振り返る“無名だった高校時代”
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2026/01/29 06:01
WBC日本代表に初選出されたロッテの種市篤暉。高校時代は無名だった27歳は、いかにして覚醒したのだろうか
では、なぜ八戸高戦を見ていたのか?
「今年の東北の逸材は?」の問いに、「工大(八戸工大一高)のピッチャー」の名を挙げたスカウトの方が、1人や2人ではなかったからだった。
高校最期の夏は…青森県ベスト8で敗退
隠れた逸材・種市篤暉が、準々決勝で大湊高に敗れた試合。
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「う~ん、あの試合はねぇ……気の毒なことしたんですよ、種市に」
10年経っても、今でも悔いが残ると話す八戸工大一高・長谷川菊雄監督。
「大湊の試合に種市を投げさせなかったのは、翌日の準決勝の相手が聖愛(弘前学院聖愛高)だったからです。そこで、先発・完投してもらおうと思ったんですね」
トーナメントにはありがちな「ここには負けないだろう」の根拠なき想定。私もそれで、何度も痛い目に遭っている。準々決勝にまで勝ち上がってくるチームは、どこだってちゃんと強いことに、試合の後に気づいたりする。
「種市の1年下にも、いいピッチャーがいたんです。ただ、その日が雨になって、パワーピッチャーなもんだから足元を気にして、いつもの調子が出なかった」
中盤までは1点リードでしのいだものの、7回裏に逆転されるとそのまま3-4で敗戦。種市篤暉の「高校野球」は幕を閉じた。
そしてその秋、取材に伺った八戸工大一高のグラウンドには――「強い目をしたヤツ」がいた。
<次回へつづく>

