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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「178cmでも山本由伸君はメジャーで」“巨人の18番”桑田真澄がズバリ語る“データ実践教室”がスゴかった「今の選手はみんな好きですよね」
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2026/01/31 11:02
「デジタル野球教室」での桑田真澄
「巨人時代も、桑田さんがこうやって投げて見せることあったのですか」
すると桑田氏はこともなげに「ありましたよ」と言う。
「ピッチャーの目的はアウトを取ることだから、データを普段から自分の感覚と一致させなければいけない。あとは配球、どこに投げてで打ち取るかを考える。いいカーブを投げられても、10球投げて全部、こんなとこ(高め)に投げてたら、打たれるやろって。カーブはここ(ストライクゾーンの下)に投げなあかん」
実際の数字…説得力があるじゃないですか
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桑田氏は「これ、僕が投げたやつね」と、タブレット端末を指さして、このように話していた。
「ちゃんと低めに投げてました。カーブはここに投げないと打ち取れないよ、というのを分かってほしい。目的は数値のいい球を投げることではなくて、バッターを打ち取ることだから、そこから逆算して考えようねって、ジャイアンツの投手にもいつも言っていたんです」
中学生たちも、目を輝かせて聞いていた。
「昔は感覚だけじゃないですか。でも今は数字を見せることができる。最初に投手に感覚で投げさせて、そのあと実際の数字を見せて、こういう感覚で投げてごらんっていう、実際の数字と合わせて指導するっていうのが、説得力があるんじゃないですか。僕もこうやってきました」
今の選手たちはみんな好きですよね
ここからは報道陣から質問が飛んだ。
——選手によって数字への好き嫌いがあると思いますが。
「今の選手たちはみんな好きですよね。テクノロジーの進化ですごい機材が良くなってきています。だから、逆に細かく見すぎないで、『君の場合は回転数だけ見よう』『君は回転軸が課題だよね』と、個別に指導をしていました」
——コーチの皆さんも勉強が必要ですね?
「そうですね。試合のない時、勉強会を開いて、みんなでスキルを身につけようとしていたんです。機器もいろいろなタイプがあって、ラプソードだとベースの手前に設置するし、トラックマンとかホークアイだと後ろに置く。機材によっても特長がまた変わってきます。大事なのは、何を使って何を見るか。取捨選択が必要にはなってきているなと感じます」
桑田真澄氏は今も「指導者」だった。それも最新のデータを駆使し、自身の豊かな経験とともにわかりやすく伝える能力を持った。それを深く実感した。〈つづく〉

