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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「178cmでも山本由伸君はメジャーで」“巨人の18番”桑田真澄がズバリ語る“データ実践教室”がスゴかった「今の選手はみんな好きですよね」
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2026/01/31 11:02
「デジタル野球教室」での桑田真澄
「大谷翔平君は2メートル近い身長があって、だからすごい球が投げられる。でもなかなかそんな大きい人ばかりじゃない。山本由伸君みたいに178cmくらいでもメジャーリーグで大活躍できる。そのためには体を効率的に、合理的に使ってボールに力を伝えるっていうことがすごく大事なんですね」
桑田氏は「投げ方について一点だけ言います」と話し、こう続けた。
「右投げの人は体重を右足に載せて、左投げの人は左足に載せて、相手が捕球したら右足を地面に落とす。簡単なことなんだけど、なかなかできない。大体の人は投げたらすぐ斜めに倒れる。体重移動が完了しない。下半身、体幹の力をボールに伝えるのが大事です。キャッチボールの時は、この2点だけ気をつけましょう」
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桑田氏は、キャッチボールのお手本を見せた。中学生たちは素直に話を聞いているが、それを見守る親世代の目がキラキラと輝いていた。甲子園の「KKコンビ」から、巨人のエース時代の「桑田真澄」を知る世代だからだ。
「3球でいい?」
キャッチボールが済んで投手はウォームアップをしてブルペンへ。桑田氏が待機し、弾道計測器「ラプソード3.0」のデータを見つめている。アナリストが、ラプソードからタブレット端末に送信されたデータの見方を説明している。
「3球でいい?」
桑田氏がアナリストに聞いて、速球を投げ込んだ。平均球速は96.1km/h、回転数は1501回転。軽く投げての数字だ。今年4月に58歳になる桑田氏だが、力を入れればもっと球速は上がりそうな印象だった。
筆者は2016年、東京大学で行われた「日本野球科学研究会(現日本野球学会)」で桑田氏の知己を得た。当時、48歳の桑田氏は東京大学大学院の研究員だったが、東大大学院の同僚は「桑田さんはフォームの違いについて、口で説明するだけではなくて、マウンドで正確に実演できる。しかもフォーシームは130km/hを楽に超える。これは本当に説得力があった」と語っていた。目の前で「やって見せる」ことの重要性を思い知った気がして、胸が高鳴った。
「巨人時代も投げて見せることが?」「ありましたよ」
アナリストが変化球について説明をする。
「これも3球でいい?」
桑田氏はこう聞いて「サービス、サービス」と言いながらカーブを投げ込んだ。タブレットを見ながら桑田氏は説明する。
「カーブは回転数を増やして曲げる変化球なんですよね。90%台まで回転効率を高めて、投げられる選手はそんなに多くないかな? まっすぐと違って、カーブではトップスピンという逆側の回転になる」
こう説明を続ける桑田氏に、筆者は思わず聞いてみた。

