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“偏差値67”奈良の公立進学校がセンバツ21世紀枠候補に…その「論理的練習法」の中身「数字の見える化」「超フィジカル強化」の原点は柔道部にアリ?
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田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2026/01/28 11:01
公立の進学校ながら昨年の春夏秋大会で連続して県ベスト4に食い込んでいる奈良・郡山高校。強さの秘密はどこにあるのだろうか?
4-4で迎えた延長10回表。無死一、二塁から攻撃が始まるタイブレークでは、送りバントで二、三塁としてからスクイズがセオリーとなる。だが岡野は、強攻策に打って出る。数字の“見える化”が根拠にあったからだった。
「打順は下位だったと思うんですけど、その選手の得点圏打率が異様に高いことを僕も確認していたので『数字を信じよう』と。あの場面では直感だったんですけど、データが僕の背中を押してくれましたね」
チャンスで打席に立ったその選手は、監督の期待に応えた。この回に2点を挙げた郡山が6-5で相手を退けたのである。
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恵まれた環境で育まれる基礎。そこへの行動理念となる数字の“見える化”によって、24年は春夏秋とすべて県ベスト4と好成績を収めるなど、奈良における郡山は上位進出の常連をキープする。今年のセンバツ21世紀枠の候補に選ばれたのは、このような日々の積み重ねと成果が認められたからだった。
だからといって、チームは現状に落ち着くことをよしとしない。すべては01年以降、四半世紀も遠ざかる甲子園に舞い戻るために――その覚悟があるからこそ、岡野は監督としてジレンマを抱えているのも事実なのだ。
「いろんなものが見える時代なので、今の高校生って目標というか、ゴールがわかっているなかで生きていると思うんです、正直。だから逆に、終わりが見えないなかで物事を進められる力も大事やとは感じています」
見える目標に向かって、やるべきことをコツコツと遂行できる。郡山のストロングポイントはまさにそこにある。
「自分たち以上に努力したチームはない」と思えるか
だが野球という、常に展開が移り変わる、実体があるようでないスポーツにおいて、選手たちは“見える化”の先にあるものを的確に捉え、実践する能力も求められる。
その醸成がやがて、奈良の覇権を握る絶対的な存在を超えていくカギとなる。だからこそ、岡野は毎日のように選手たちをこのように鼓舞するのである。
「『自分たち以上に努力をして成果を出してきたチームはない』と思ってやらなしゃあないちゃうん? それが自分たちの生きる道やし、試合になったら諦めずに戦っていれば、自分たちに分があるって粘れる――そう信じていいんじゃないかな」
では甲子園への「最後の壁」となる強豪私学を打ち破るために、具体的に「必要な要素」とは一体何なのだろうか?
<次回へつづく>

