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“偏差値67”奈良の公立進学校がセンバツ21世紀枠候補に…その「論理的練習法」の中身「数字の見える化」「超フィジカル強化」の原点は柔道部にアリ?
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田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2026/01/28 11:01
公立の進学校ながら昨年の春夏秋大会で連続して県ベスト4に食い込んでいる奈良・郡山高校。強さの秘密はどこにあるのだろうか?
徹底した下半身トレーニングの意義を、岡野はこのように説く。
「足の筋肉や走る力が増してくれば、必ず上半身の力にも繋がってきます。そうなると体全体の出力も高まっていくので」
それぞれのメニューには趣向が凝らされてある。だが、岡野はこれらを「どこでもやっている」と、ありきたりにさせないための仕掛けづくりもしっかりと施している。
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それが、数字の可視化だ。
目につく場所に…あらゆるデータを一覧表示
監督からのこんなリクエストによって習慣になっていったという。
「俺が選手やったら、監督や部長とか誰でも見えるところに貼ってあったほうがピリッとするというか、頑張らなって思うけど」
シーズンオフの今ならば体重など身体に関わる数字を、グラウンドの誰の目にも留まりやすい場所に掲示する。シーズンになると、それは打率や打点、防御率、近年ではOPSといったセイバーメトリクスに至るまで凝りだしており、ランキング形式で一覧を出す。
「もともとはマネージャーたちが月ごとにまとめてくれて、ファイリングしたデータを各々が見るというスタイルだったんですけど、うちの子はそれなりに勉強をしてきて数字や理論が好きなこともあったんで」
数字の“見える化”は、選手たちにとって日々の、あるいは単調できついトレーニングも士気向上の重要なスパイスとなる。数をこなすことにこだわりを持つ郡山からすれば「成績を上げるためにどうすればいいのか?」と、一つひとつの練習に中身が伴い、何よりチームに自覚が芽生える。選手たちでメニューを決めることも多い郡山にとっては、成長への効果的な刺激となるわけだ。
キャプテンの田副皓大が頷く。
「例えば、ランメニューって厳しいじゃないですか。それがやらされる練習であれば頑張れないんで、『1周走』だったら自分たちから監督に提案してリレー形式にするとか。そうやって頑張り方を考えるようにしています」
効果は練習への意欲だけではなく、試合でも実証されることも珍しくない。ひとつ挙げるとすれば、24年春の奈良商工との県大会3回戦だ。

