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“偏差値67”奈良の公立進学校がセンバツ21世紀枠候補に…その「論理的練習法」の中身「数字の見える化」「超フィジカル強化」の原点は柔道部にアリ?
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田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2026/01/28 11:01
公立の進学校ながら昨年の春夏秋大会で連続して県ベスト4に食い込んでいる奈良・郡山高校。強さの秘密はどこにあるのだろうか?
柔道部の指導で感じた「フィジカルの重要性」
なかでも、新卒で赴任した磯城野高校で柔道部の顧問を務めたことが、のちに野球を指導していくうえで僥倖だった。自分よりもはるかに体重の重い、100キロもある選手の打ち込みや乱取り稽古の相手を日々、こなすことで、意識せずとも筋力が増していった。
それを実感したのが、野球の指導者になってからだったという。
「バッティング練習で打たせてもらったときに、今までと比べ物にならないくらい打球が飛んだんですよ。4年間、柔道部の顧問でしたし、ほとんど野球もしてこなかったんで技術なんて上がるはずもない。そこで『フィジカルって大きいんやなぁ』と、野球に対する考えにまた変化が生まれたというか。基礎になる力が上がれば、技術の成果にも自然と結びついていくんやろうなと感じました」
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20年に母校に赴任して野球部のコーチとなり23年に監督となると、岡野は高校時代に重要性を学んだ下半身の強化を踏襲しつつ、自らの経験をチームに落とし込んでいく。
例えば、磯城野柔道部でも取り入れていた、相手をおんぶしたり、抱えたりしながら様々な動作を行うトレーニング。岡野は「相手の体を持ちながら動くには、自分の体のバランスや使い方が大事になってくるんですけど、そこが直感的に磨かれる」と説明する。
一方でウエートトレーニングでは日によってセット数を決め、チームとして同じ回数をこなすのではなく選手の自由意思に任せる。デッドリフトならば、100キロを持ち上げられる選手は「10回10セット」とし、それが困難であれば50キロを「20回10セット」と変更できる。ともに総重量は10トンになるため「目標が明確であれば、それでいいと思います」と岡野は言う。
「体の小さい子は重たい物が持てない傾向にあるんで、だったら軽い重量で回数を稼いで早く動かせる筋肉を養えばいい、と」
岡野はフィジカル強化だけでなく、瞬発系や持久力の底上げにも余念がない。前者は10メートルや50メートルといった短い距離を、シャトルランのように決められた秒数で切り返すなどバリエーションを持たす。後者では、350メートルのグラウンド外周を走る「1周走」と呼ばれるメニューを2、3本こなすなど。このようなランニングメニューは、年間通して組み込まれているという。

