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“プロレス大賞MVP”上谷沙弥がOZAWA発言を一刀両断「グチグチうるせえよ! 小せえ男」振袖姿で掲げた“野望”「スターダムを業界ナンバーワンに」
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2026/01/14 17:05
プロレス大賞MVPと女子プロレス大賞を受賞した上谷沙弥。赤いベルトを肩にかけ、ふたつのトロフィーを手に振袖姿でポーズをとる
「結局、沙弥様が大好きなんだなあって」
授賞式を終えて、上谷が心境を語った。
「(プロレス大賞の)52年の長い歴史の中で女子が初めて時代を動かせた。心からうれしく思ってる。(今は休養中だが)温泉行ってエンジョイしてます。OZAWAみたいな男はラヴィットには出られないから。Xとか動画とか、発言が小せえ男。結局、沙弥様のことばっかり、沙弥様が大好きなんだなあって思うよ。去年は本当に沙弥様一強だったと思う。プロレスラーはライバルがいてなんぼなんと思うので、対角に立って、足を引っ張ってくる度胸のあるヤツがいたらかかってこい」
OZAWAは記念撮影の間、隣の上谷に無言で視線を投げていた。
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「去年は女子プロレスを世間に広めるためにやってきた。その思いは今年も変わらない。自分自身が活躍していけば、プロレスはおのずと広がると思う。今しかできないような個人の幅を広げた仕事や活動ができれば、プロレスラー人生が豊かになるんじゃないかな。業界ナンバーワンは動員の数字が大事。4月の横浜アリーナで1万を目指していけば、先が見えてくる」
安納サオリと“年間ベストバウト級”の名勝負
話は昨年末になるが、12月29日に満員の両国国技館で行われた上谷と安納サオリとの試合は「ここまでやるのか」という壮絶なものだった。女の意地とはこんなにもすさまじいものなのかと思ってしまうほどの、ノーガードでの張り手の応酬もあった。
鼻血を流し、顔を腫らして女たちは戦った。
仮面舞踏会か、はたまた怪傑ゾロか。そんな黒いマスク姿を見せた上谷と、新しいコスチュームを着ていつもの冷静な顔でリングに立った安納。二人は感情をむき出しにして、死力を尽くした。
選考期間外だが、期間内であったらプロレス大賞の年間最高試合賞のノミネートに十分値するものだった。
フェニックス・クイーンvs.絶対不屈彼女。上谷には12月29日という一つの大きな壁を越えられるか、という課題があった。この日を境に時代が変わることを何度か見てきたからだ。
怖い安納がいた。「上谷の本当の怖さを引き出してやる」と、キャリア10年の女は上谷に立ち向かった。
身体能力が高くブリッジが得意な二人はスープレックスの技を競い、蹴りを放ち、体をぶつけあった。場外ではチェーンまで使った。空中戦もあった。予想外の攻防がより魅力的だった。
試合は上谷の3度目のスタークラッシャーで終わりを告げるが、二人とも消耗していた。そして泣いていた。




