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「ハイキューかよ…」春高バレーMVP岩田怜緯の本音が純粋すぎた「終わってしまうのが嫌だった」ライバルと先輩・高橋藍に比較された2年生エースの脱皮
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2026/01/13 11:02
高橋藍を擁した2020年以来、6年ぶりに春高バレーを制した東山高校。2年生エース岩田怜緯は大会MVPに選ばれた
国スポから約3カ月、やるべきことをやり尽くして迎えた春高の準々決勝で、鎮西との再戦が実現した(準々決勝までは3セットマッチ)。第1セットをものにした東山は第2セット、一時は6点のリードを許すが、好守備から岩田などのスパイクでジリジリと迫って19-19と追いつき、そのままデュースに持ち込んだ。
東山は磨き上げてきたブロックディフェンスで、一ノ瀬が高い打点から打ち込んでくる強力なスパイクを拾いまくり、鎮西を追い込んでいく。岩田もボールに食らいつき、何度も好守備を見せた。
エース勝負の流れになる中、闘争心と集中力を極限まで高めた岩田は、いわゆるゾーンに入ったような状態だったのではないか。両者が死力を尽くした壮絶なラリーを岩田のパイプ攻撃で制して28点目を奪い、マッチポイントを握るが、岩田に笑顔はなかった。ハーハーと口を開けて懸命に酸素を取り込み、次の1本に備える。
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その直後、齋藤航のサーブで崩してチャンスが訪れると、岩田が再びトスに向かって後衛から猛然と突っ込んでいく。
「ここを逃したら鎮西に流れが行ってしまうと思ったので、『もうここで仕留める!』という気持ちで、思いを乗せて打ちました」
渾身の1本は3枚ブロックを弾き飛ばし、鎮西の選手達の頭上を超えていく。29-27で激戦に終止符が打たれた。
仰向けに倒れ込んだ岩田の瞳から自然と涙があふれた。止まらない涙をユニフォームで拭いながら、一ノ瀬と抱き合う。コートを出てからも、岩田は鎮西の選手に次々とハグした。
「こんなに楽しい試合をさせてくれてありがとう、という気持ちを伝えたくて。漣とか(鎮西の岩下)将大さんは『次頑張って』と言ってくれたので、『頑張るよ』と伝えました」
達成感が大きすぎて、次の試合で足元をすくわれたりしないだろうかと危惧したが、杞憂だった。

