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“高校野球7回制に否定的報道”桑田真澄コメントには続きが「そういう改善策を」酷暑だけでなく…世界的潮流に潜む“投手の故障リスク問題”とは 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2026/01/11 11:01

“高校野球7回制に否定的報道”桑田真澄コメントには続きが「そういう改善策を」酷暑だけでなく…世界的潮流に潜む“投手の故障リスク問題”とは<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

9回制で行われてきた高校野球だが、世界的潮流にならって「7回制」となるのだろうか

 猛暑の夏季に試合をする際には、昼間の時間帯を避けて午前と夕方の「二部制」にする必要があり、夏の甲子園では大会序盤に実施されている。その際に「9回制」では、試合消化が厳しい。酷暑になって以降「クーリングタイム」が設けられたり、水分摂取の時間を取るようになり、試合時間は長くなる傾向にある。従来は2時間で済んだ試合時間が、2時間半に近付いており、その点が「9回制から7回制への変更」の理由づけとなる。

 9~10月に滋賀県で行われた国民スポーツ大会で、7回制の試合を観た。打撃戦が多く7回でも2時間に近付く試合が多かったが、攻守交代などに十分な時間が取れ、ゆとりを感じさせた。

世界的な潮流となった背景に“投手の障害リスク”

 7回制にはもう一つ、世界的な潮流もある。

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 日本高野連の見解にはなかったが、高校生レベルではアメリカ、韓国、台湾、カナダなどがここ5年ほどのうちに、7回制に移行している。この世代の世界大会であるWBSC U-18ワールドカップも2022年から7回制になった。「DH制」「タイブレーク」と同様に「時短」「分業」へと舵を切っているのだ。なお日本では中学以下の野球はすべて7回制かそれ以下になっている。

 7回制が必要な背景とは何なのか。それは「投手の障害リスク増大」の問題がある。

 2024年12月に東北福祉大で行われた「日本野球学会」のシンポジウム「投球障害予防—現場発の最新知見」では、中部大学の宮下浩二教授(スポーツ外傷・障害, バイオメカニクス)らが、投手の球速(投球強度)上昇と変化球多用によって、肩ひじへの負荷は大きくなり、故障のリスクが高まっていると発表した。つまり、高校生世代でも球数制限だけでなくイニング削減で肩ひじを守る必要性が高まっている。

 筆者は2024年から高校野球指導者に会うたびに、7回制について意見を求めてきた。数十人に聞いたが、公立高校の監督は「うちは選手が少ないから助かる」という意見が多かった。これに対して私学は「選手の出場機会が減る」「完投する投手が増えるので、エースの負担が重くなる恐れも」などの意見が出た。

 一方で「加盟校」に対するアンケートでは、ほとんどの回答者が「7回制が導入されたら、自分の学校はどうなるか」という視点で回答している印象だった。

桑田真澄が語った“否定的意見”とは

 興味深かったのは、巨人二軍監督を退任したPL学園OB・桑田真澄氏の言葉である。

【次ページ】 SNSで一層激しい賛否が沸き起こるだろうが

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