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「背筋がゾクっとした」ジャンボ尾崎が真っ暗な庭でうずくまって…旧知の記者が目撃した“スーパースターの苦悩”「クラブ抱えていないと、眠れないんだよ」 

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三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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photograph byBUNGEISHUNJU

posted2026/01/05 06:00

「背筋がゾクっとした」ジャンボ尾崎が真っ暗な庭でうずくまって…旧知の記者が目撃した“スーパースターの苦悩”「クラブ抱えていないと、眠れないんだよ」<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

ゴルフ界に大きな功績を残し、78歳でこの世を去った尾崎将司(1984年撮影)

 40歳を過ぎてから63勝した絶頂期のときこそ、スランプの時期よりも尾崎が苦悩する場面を見ることが多かった。

 ある日の夜9時すぎ、自宅を訪ねると尾崎は、真っ暗な庭の隅にあるベンチに座っていた。ドライバー1本を抱えるように蹲っていた。

「どうしたんですか?」
「練習すればするほど、処理しなければいけない課題が増えるんだ。俺、クラブ抱えていないと、眠れないんだよ」

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 背筋がゾクッとした。尾崎の苦悩を垣間見た気がした。

「苦しいと思うことがおかしいんでね。今の宗教でね、よく苦しいときに拝めばいいというじゃない。僕は宗教ってそうじゃないと思うんだ。おかしいよ。自分の目標に対して何もしないで、苦しいから拝むなんて。だから、そうではなくて、なすべきことを全てやる。これは当然ね。そして、その結果は、神のみぞ知る。運命は決まっているわけなんだから。でも誰も知らない。だから、その結果に対して、良くなって欲しいと祈る気持ちが宗教で、そのプロセスは、自分自身しかないんだから」

 そして尾崎は、こう語った。

「余裕のない人間が一生懸命頑張ると、余裕のある人間に勝てる」
「人は、新しいものと出会えることでどんどん変化する。向上する」

 数々の名言を残し、偉業を達成し、ゴルフ界のスーパースターとなった尾崎。

「結局、俺は何でも生き物が⋯⋯犬も好きだったしね、花も好きだし、木も好きだし、そういう生き物というのは、自分の愛情に応えてくれるんだな。そういう純真さみたいなものを持っているわけだ。

 今の世の中いろいろ、人間というのは奥が深いというか裏表があるというか、ちょっと嫌な面だってあるわけだし、動物や木とかの生き物には(そういう面が)ないから非常に好きなんだね。俺は自分自身、非常に素直な人間だと思ってるし、あんまり俗っぽい世界にかかわりたくない」

 取材対象者として尾崎将司と出逢い、共に過ごしてきた青春時代は、宝物がぎっしり詰まったような時代だった。

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