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「背筋がゾクっとした」ジャンボ尾崎が真っ暗な庭でうずくまって…旧知の記者が目撃した“スーパースターの苦悩”「クラブ抱えていないと、眠れないんだよ」 

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三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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photograph byBUNGEISHUNJU

posted2026/01/05 06:00

「背筋がゾクっとした」ジャンボ尾崎が真っ暗な庭でうずくまって…旧知の記者が目撃した“スーパースターの苦悩”「クラブ抱えていないと、眠れないんだよ」<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

ゴルフ界に大きな功績を残し、78歳でこの世を去った尾崎将司(1984年撮影)

「スランプは大きく飛躍するためには絶対必要条件ですね。いつまでも登り詰めることは不可能だし、ある程度は立ち止まる。しかしゴルフの場合は、メンタルの要素が強いから、そこでいろいろなことを考えすぎたりすると、そのまま立ち直れなくなってしまうことがある。僕の場合、4年という長い時間がかかったけど、改めて自分を考え直したり、新しい自分をつくり出す情熱のようなものを失うことは決してなかったですね。

 世界という舞台がある。そこで力を発揮できないと、自分のなかで『もっと、もっと』という気持ちが強くなる。だから日本の選手はそのためにももっと海外に出ていろんなビッグタイトルのトーナメントにチャレンジしなければいけない。チャレンジをして初めて、自分の本来の姿がわかるようになる」

スランプ脱出直前に見た“3つの夢”

 尾崎は、感性のゴルフから脱して理性のゴルフをどう取り入れるかを探求した。肉体のメカニズム、スイングの科学的分析など、感覚に頼るのではなく、理性の裏付けをジグソーパズルのように、丹念に埋めていった。

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「おかしな夢を見たんだよ」

 そう言って、彼が見たという夢のさわりを話してくれたことがある。1984年の夏のことだ。ちょうど全英オープンが行なわれる1週間前だった。

 3つの夢の物語だった。

「ひとつは、僕とニクラスとが何だか激論を交わしているんだ。喋りまくっている。お互いにね。どうやら、ふたりはスイング論について言い争っているらしいんだな、これが。

 そうかと思うと、こんな夢も見たんだ。あるホールでさ、僕が必死になってもがいているんだ。何をやってもうまく行ってない。打てども打てどもカップまで辿り着かないんだよ。誰かが大きな声で、その打数を勘定してるのが聞こえてくる。で、ようやくホールアウトできたんだけど、108ぐらい叩いちゃうんだよ。夢とはいえ、これにはたまらんかったよ(笑)」

 最後に聞かされたのは、彼が何かの試合で優勝したという夢だった。大勢のギャラリーに囲まれて、フェアウェイを闊歩している。威勢よくウイニング・ボールでも投げているのだろう。そんなシーンに違いない。
 
 いつもは、目標に向かって夢を語ることが多かった尾崎だけれど、眠っている時に見た夢の中身を聞いたのは、これが最初で最後だった。

 当時の尾崎の苦悩とスランプ脱出直前の光明が入り混じっていたのだろう。

 その後、尾崎は、破竹の勢いで再び王者となった。いやむしろ、これが本来の強さでありスーパースターの姿だと思った。

【次ページ】 「俺、クラブ抱えていないと、眠れないんだよ」

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