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「背筋がゾクっとした」ジャンボ尾崎が真っ暗な庭でうずくまって…旧知の記者が目撃した“スーパースターの苦悩”「クラブ抱えていないと、眠れないんだよ」
text by

三田村昌鳳Shoho Mitamura
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2026/01/05 06:00
ゴルフ界に大きな功績を残し、78歳でこの世を去った尾崎将司(1984年撮影)
それまでにも尾崎との関係ではたくさんのことがあった。尾崎の取材を担当しはじめたころ、当時の習志野の邸宅に午前11時ごろに到着し「こんにちは、お邪魔します」と言うと「お前、なにしにきたんだ?」と怒鳴られた。「あ、ちょ、ちょっと取材を」と言えば「取材? そんな話は聞いてないぞ!」とまた怒鳴られた。もちろん、取材申し込みなどしていなかった。言えば、その場で断られる。直接行くしかない。
「なんなんだよ? 今日は、なにしにきたんだ?」
次に尾崎が言葉を発したのは、深夜12時だった。そう、僕はほぼ半日うろちょろしながら待っていたのだった。
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企画内容を説明すると「そうか、それは俺が話さないとダメだな」と取材が始まった。ものの2、3分もしないうちに尾崎の言葉遣いが変わっていく。この野郎的な口調から「ですます」調に変化していく。そのシーンを見ていた僕は、尾崎に親近感を覚えた。
ジャンボが追い求めた“エネルギー”
「プロにしかできないものを絶対に見せなければ新しいファンはできない。僕の場合は、例えばロング・ドライブでしょ。青木(功)選手はアプローチ、パット。彼にとっても僕とはいい比較になると思う。バランスがとれているんだよ。それを僕がコントロールしてアプローチ、パットでやったら同じようなパターンになってしまうじゃない。34歳でロング・ドライブを昔のまま維持する。それが僕の魅力のひとつだと思う。違ったキャラクターでいいと思う。
青木選手は、もの凄い技術を大事に育ててると思うし、僕は、技術の第一人者にはなれないと思う。なんていうのかな、『ワーッ凄い』っていう憧れみたいなもの。例えばパーマーは、ほんのちょっとの隙間があればトラブル・ショットから狙った。自分もそういうタイプだと、僕は思う。その中で完成させていこうとね。
ゴルフは、心・技・体がうまく溶け込んで完成されるけど、それだけじゃなく自分を進ませるエネルギーが必要。心・技・体だけだと消極的で時に用心深くなってしまう。自分の道を進んで行く自信というか、走らせるエネルギーも必要なんだ。国民性の違いかな、アメリカ人はそれがうまいよね。いま、僕の中ではその4つがまだちぐはぐな部分があるけど、もう少しで噛み合いそうな気がするんだ」
さらに尾崎は、こう語った。


