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ウルフアロン29歳はデビュー戦でEVILに勝てるのか? 大物のプロレス初戦「北尾光司も小川直也も勝った」カメラマンの大胆予想「勝敗を聞かれたら…」
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/12/29 17:04
東京五輪柔道100キロ級金メダリストのウルフアロンは1月4日、新日本プロレス東京ドーム大会でデビューする。試合は当日、テレビ朝日系の地上波で放送される
「ボク自身のバックボーンは柔道ってところがありますし、それを捨てるっていうわけではない。ただ、プロレスラーになるためには、まずはプロレスを一からやらなければいけない。むしろゼロからやらなければいけないっていうふうには考えてました。そういった中である程度自分のプロレスの基礎みたいなものができ始めたので、最終的には今までやってきた柔道の技術を活かしていきたい」
そう発言してから2カ月でデビュー戦を迎える。
「組んだ瞬間の圧というのがあって、組んだ瞬間にこの人には勝てないなっていうのがある」ともウルフは言った。「骨太いな。鍛えてこられたというのわかる」というのが棚橋への印象で、「ボクは細い。足は30センチだけれど、ただ肉がついているだけ」と笑う。
ウルフアロンのデビュー戦…その勝算とは?
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EVILとの“抗争”は10月13日の両国国技館から始まった。それまでは練習生としてセコンドについていてもレスラーと接触する機会はなかったが、当初、対戦相手として噂されたボルチン・オレッグを助ける形でEVILと顔を合わせた。HOTの高橋らを払い腰で投げ、東郷にはボディスラムを放っている。
11月2日の岐阜大会では組みつくとEVILを腰できれいに投げた。
11月8日の三河安城大会では身を挺してマスター・ワトをかばい、EVILのイス攻撃を背中で受けた。
12月14日の熊本大会では、場外でEVILに顔面をかきむしられた。
そして、12月22日の後楽園ホールでは、1月4日に挑戦するNEVERのベルトでEVILに殴られた。さらに控室まで連れ去られた。
ウルフの気持ちは高まっている。
ウルフは相手が苦手なやり方を追求していくという考え方があることも示した。延長戦が「ウルフタイム」と呼ばれるほど柔道時代からスタミナには自信のあるウルフだが、長期戦は禁物だろう。EVILとどんな試合になるかは楽しみではある。
おそらく、好きで見ていたプロレスと、自分でやるプロレスにはギャップがあるだろう。
「デビュー戦は1回しかないから。それが起点になる。レスラーは自分に必要な技は見つかってくるもの」と棚橋はウルフに言った。
ウルフが上達したのはわかるし、リングに馴染んだ感じはする。しかし簡単にEVILに勝つことはできないのではないか。ウルフに勝機があるとすれば、EVILに絡みついて絞め落とすしかないだろう。



