甲子園の風BACK NUMBER
「時には一緒にサウナ」「試用期間を経て主将」甲子園V経験校・36歳監督と部員の“リアルな距離感”「甲子園に出るのが当たり前に」常葉大菊川に直撃
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間淳Jun Aida
photograph byJun Aida
posted2026/01/01 11:04
高校野球部の寮生活が思わぬ形で注目された2025年だが……甲子園経験校はどんな生活をしているのか
今チームにいる選手を育成する方針で開花した選手も現れている。象徴的な存在は、渡辺豪主将だ。中学時代は「ギリギリ試合に出られるか出られないかの選手」で、スタメンで起用された時の打順は主に8番か9番だったという。高校入学時も3年間で背番号をもらえないかもしれないと覚悟しながら、「自分が成長できる場所」と常葉大菊川を選んだ。
“試用期間”を経てのキャプテン
今春のセンバツでは同級生が6人ベンチに入る中、自身は背番号をもらえず、サポートメンバーで甲子園に同行した。それでも、控えメンバーで構成するBチームで主将を任され、新チーム結成時には主力のAチームで主将に立候補した。
「立候補するのは覚悟が必要でしたが、一度決めて口にしたら、自分の言葉に責任を持たないといけません。自分が失敗した時でも、チームメートに厳しいことを言わないといけない場面もあります。でも、チーム内競争に負けていられませんし、プレー以外の面でもチームを引っ張っていきたいと思いました」
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常葉大菊川では主力が主将を務めることが慣例となっており、基本的には指名を受けた選手が主将となる。渡辺主将から大役を直訴された石岡監督には当初、迷いがあった。夏休み中に“試用期間”を設け、主将の適性を見極めた。
結果は合格だった。ただ、渡辺主将がレギュラーを獲れるかどうかは微妙な状況だった。背番号9を手にして臨んだ今年の秋季大会。大会序盤はスタメンを外れた試合もあったが、静岡高校との県大会3回戦で3安打4打点。チームを勝利に導く活躍で、その後の出場機会を一気に増やした。石岡監督も「秋の大会では想像以上の成長を見せてもらいました。主将を中心にチームが良い方向に進んでいると感じています」と話す。
甲子園で勝つのが当たり前の領域に
練習やチーム方針に惹かれて常葉大菊川でプレーしたい思いの強い選手が増え、石岡監督と選手の信頼関係が強くなるにつれ、結果も出るようになってきた。2023年にチームとして10年ぶりのセンバツ出場を果たし、今春も聖地に立った。今秋は準々決勝で三重に敗れたものの、東海大会に出場している。
近年安定した成績を残している常葉大菊川は、常に県内の大会で優勝候補に名前が挙がる。しかし、指揮官に満足感はない。

