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「イノウエのパワーは想定以上ではなかった」敗者アフマダリエフ“2つの誤算”…取材記者が本人を直撃、コーチは“言い訳”「井上尚弥のプランは…予想外だった」―2025年下半期読まれた記事 

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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photograph byNaoki Fukuda

posted2025/12/27 06:01

「イノウエのパワーは想定以上ではなかった」敗者アフマダリエフ“2つの誤算”…取材記者が本人を直撃、コーチは“言い訳”「井上尚弥のプランは…予想外だった」―2025年下半期読まれた記事<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

9月14日、井上尚弥vsアフマダリエフ。敗者が思い描いていた“番狂わせ”プランとは…

 少しだけでもジョエルと話せないか。2時間ほど待った。するとアントニオが姿を見せた。

「ジョエルは1人で帰ったよ。新幹線で東京まで行って今日の便で羽田から帰るって」

 この日もジョエルには会えなかった。それにしてもなぜ、ジョエルだけ別行動なのだろうか。

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 アントニオに聞いた。「敗戦がジョエルを早く帰国させたのだろうか」。すると彼はこう呟いた。

「さぁ、どうだろうね。かもしれないし、最初から決めていたのかもしれない。もちろん悔しいさ。僕らみんなそうだから」

 試合に勝った井上がリング上でベルトを巻かれるシーンを思い出した。ジョエルは悔しさを押し殺すように、唇を一文字に結んで、井上に拍手を送っていた。アントニオが対応していた会見中もそうだった。司会者の後方、出口のすぐ近くにジョエルはいた。いかにも早くこの場を離れたそうに、落ち着きなく首を動かしていた。

 アフマダリエフ陣営につづく会見で、チャンピオンの井上は言った。

「アフマダリエフも実力者なんで。自分がそこで倒しに行こうと思えば、また違った展開になっていた可能性もあるので。今日は判定で勝つというボクシング、ここをチョイスして良かったのかなと思ってます」

 ジョエルにとって最大の誤算は、井上のドラスティックな戦術転換そのものではない。それを世界戦で実行した井上尚弥という人物像を見抜けなかった点にある。

 天才戦術家のプランにヒビを入れたもの。それは井上の豪胆さだった。

<前編から続く>

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