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広岡達朗の長女が重要証言「あんな偏食家はいません」じつは『タブチくん』も読んでいた“やさしいパパ”の素顔「あえてヒールのようにふるまった」―2025年下半期読まれた記事
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長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2025/12/24 11:00
「厳格」「冷徹」といったイメージで語られがちな名将・広岡達朗。長女の祥子さんが明かす父の素顔とは
見ていたのである。マンガ版のみならず、映画版も知っていたのである。「そんなマンガは知らない」と言った手前、気まずくなったのか広岡が続ける。
「娘から一度だけ見せてもらったことがある。だけど、まったく私に似ていないし、私とは全然違う人物だよ、あのマンガのヒロオカという人物は」
祥子さんが続ける。
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「私自身は、あのマンガを楽しく読んでいました。実際の父とはまったく異なる性格でしたけど、あれはあれでマンガとして面白かったので、ぜひ一度、いしいさんには会ってみたいですね。そういえば父はあのマンガについて、作者が一度もあいさつに来ていないことを怒っていました。勝手にやるのはやっぱり、ちょっと失礼だと思いますから」
昭和から平成、そして令和となった現在も、「ヒロオカ」ならぬ「広岡」は活躍中だ。『小説新潮』(新潮社)に連載中の「剽窃新潮」には、小説家の「広岡先生」が登場している。もちろん作者はいしいひさいちである。
キノコ嫌いの広岡「あんな偏食家はいません」
『がんばれ!!タブチくん!!』で描かれていた「ヒロオカ監督」について、「実際の父とはまったく異なる性格」と祥子さんは言った。では、自宅での広岡はどんな性格であり、どんな父親なのだろう?
「あのマンガのように、家では着物なんか着ていませんよ。普段は麦わら帽子をかぶって、ランニングに短パン姿で庭作業をしています。いつもオナラばかりしていて母に怒られていましたし、世間からは管理野球と言われていて食生活にはうるさかったけど、私や弟から言わせれば、あんな偏食家はいません。特にキノコ類が苦手で、私たちには“あんなのは栄養が何もない”と言っていました。でも、後にそうではないことを知って、“あぁ、パパも嘘をつくんだ”と思ったことを覚えています」
パブリックイメージが覆される発言は、やはり家族ならではのものだ。隣の部屋でテレビを見ている広岡の若き日の姿が頭に浮かぶ。祥子さんはさらに続ける。

