魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER

「“史上最速”大関・安青錦(21歳)は来年横綱になれる?」元大関・魁皇が独自の見解…「数字は確かにスゴいけど…」「優勝で付け人が泣いた“素顔”も」 

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浅香山博之

浅香山博之Hiroyuki Asakayama

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posted2025/12/01 17:18

「“史上最速”大関・安青錦(21歳)は来年横綱になれる?」元大関・魁皇が独自の見解…「数字は確かにスゴいけど…」「優勝で付け人が泣いた“素顔”も」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

11月場所、優勝決定戦で豊昇龍を送り投げで破り、初優勝を果たした安青錦(21歳)

 大の里が千秋楽に休場してしまいました。お客様はがっかりでしたでしょうが、安青錦戦で肩を痛めたとのことで、休むのはよっぽどのことでしょう。強行出場して大きなケガにつながったり、ほかのところまでケガをしたら、それこそ取返しのつかないことになる。それを考えると仕方ないと思います。「最後の一番くらい我慢して取れよ」と、なかにはそう言う人もいるかもしれないけれど、もし何かあったら相撲人生が終わっちゃいますから。ケガの患部に痛み止めを打って相撲を取るって、感覚を麻痺させているだけだから、ほんとに危ないんですよ。まだまだ先があってこれからって時に、取返しのつかないことになったら、元も子もないでしょう。いろいろな意見もあるだろうけれど、これは仕方のない選択だったと思います。

 横綱豊昇龍は、安青錦との優勝決定戦で後ろを取られて負けてしまった。対戦成績は3連敗で、やはり苦手意識が出てしまい、やりづらいんでしょう。豊昇龍は、基本的に「ここ一番の強さ」が評価されて横綱に上がったけれど、今回は、さらに安青錦がそれを上回ったということでね。潜在的に苦手意識を持ってしまっていても、何かきっかけがあれば変わりますよ。この場所後の巡業でしっかり稽古して、どういう相撲を取ったらいいかと考えながらやればいい。安青錦とガンガン稽古するのもいいし、そうでなくとも傍から見て安青錦がどういう動きをしてるのか、見取り稽古をするのもいい。この冬巡業が、きっといい勉強になると思います。ずっと苦手意識を抱えてしまわないように、今、ここで意識して克服するように、ね。

「みんな彼のファンですよ(笑)」20歳藤ノ川

 一山本が11勝して敢闘賞を受賞。突き押しの力士だけれど、今場所は投げ技を見せたり、なかなか面白い相撲を取るんですよね。阿炎とはまた違ってちょっと動きは軽いんだけど、土俵の円をうまく使い、動き回って流れを変える。これって、なかなかできないものだから、たいしたもんだと思います。

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 気鋭の20歳、藤ノ川は9勝6敗。藤ノ川は本当に面白い存在です。負けん気の強さと気迫がにじみ出て、見ていて気持ちいい相撲を取ってくれる。体は大きくないけれど、ガンガン攻めていく。小技で勝つだけだったら番付は上がらないと思うけど、立ち合いからしっかり当たる相撲ですからねぇ。あれだけ当たって攻める相撲を取れるのは、たいしたものです。こういう子が上がってくると、さらに大相撲界は面白くなってくる。俺ら親方衆が見ていて面白いと思うんだもの、みんな彼のファンですよ(笑)。

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