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獅子の遺伝子BACK NUMBER
西川愛也「金子侑司さんのYouTubeで…」25盗塁の秘密と“スランプ克服術”「またアレが始まるのか」過去にワースト記録…若きスターの苦悩と成長
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNumberWeb
posted2025/11/30 11:01
飛躍の1年を振り返る西武・西川愛也
2025年シーズンの西川は肩の故障以外でスタメンを外れることはなく、無安打の試合も最長で3試合だった。比較的短いスパンで修正、対応しており、それがレギュラーをつかめた最大の要因でもある。
「何試合かヒットが出なくなると、どうしても複雑に考えてしまうんですよね。そんなときは、シンプルに頭を整理して『考えることは一つだけ』と心がけていました。タイミングを早めに取るとか、ポイントを前にするとか……。配球を読み過ぎて、考え過ぎると体が追いつかないとわかったので。意識することは一つにして、そこだけに集中して打席に立ちました」
ワースト記録の“トラウマ”
西川は2020年8月16日の楽天戦で放ったプロ初安打のあと、2023年4月30日まで62打席無安打というワーストの記録を持っている。
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「ヒットが何試合か出ないと、僕はめっちゃ嫌ですね(苦笑)。『またアレが始まるのか』みたいな感じになって。今年も2試合、3試合ヒットが出なかったりすると、モヤモヤしていました。多分、そのへんは周りの選手より敏感だと思います。今シーズンはちょっとヒットが出なくなっても、なるべく、それまでやっていたことを変えずにいました。練習方法やルーティンも変えずに。ヒットが欲しくなると、特に打席で力みやすいので、なるべく脱力して打席に入ることを心がけていました」
頭を整理し、あとはリラックスして打席に向かう。こうして134本のヒットを生み出した。
「バランスのいい選手が目標」だと語る西川だが、では盗塁については何か考え方に変化があったのだろうか。2025年シーズンはリーグ3位タイとなる25盗塁を記録。昨季までの総盗塁数13を大きく超えた。
きっかけは先輩のYouTube
「今年は去年よりもリードをちょっと大きめにとっていました。けっこう牽制が多かったんですが、それでも1足半くらい大きくしていました。もちろん投手によって変えはするんですけどね。
きっかけは金子侑司さん(西武OB)のYouTubeです。YouTubeで金子さんがおっしゃっていたんですが、牽制でアウトになるなら、二塁へ盗塁してアウトになる方がいい。成功率を高めた方がいい。だから金子さんは現役時代、リードは大きく取っていたそうです。確かにそうだなって思って。一塁に留まるのと、得点圏に行くのとでは大きな違いがありますから」


