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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「過去2年以上の疲れを感じていた」最多勝・DeNA東克樹はなぜ“3年続けて”結果を出せたか…試行錯誤と苦闘のシーズンを支えた「考える力」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/11/10 11:00
今季14勝で最多勝を獲得した東だが、数字から感じるよりもはるかに苦しいシーズンだったと明かす
高いレベルを3年間維持するのは、簡単なことではない。しかし、そこを超えなければ万人が認める“エース”にはなれない。キャリアや登板数を重ねれば、当然相手にもデータが集まり、対策をされてしまう。圧倒的、絶対的な存在になるには、自らを常にアップデートさせそこを超えていかなければならない。東が課せられた命題は、困難を極める。
「だからとにかく考えました。そもそも僕は今シーズン、クイックで投げていたじゃないですか。あれは実は去年のポストシーズンで肉離れしたことで癖がついてしまって、フォーム的にクイックが一番合うカタチになってしまったんです。
そのなかで足を少し上げてみたり、腕のアングルを変えてみたり、その日のコンディションと向き合いながら、試合中も含めずっとやってきました。ああすればよかった、こうすればよかった、と思うことも多くて、だからマウンド上で少なからず首をかしげることもあったと思います」
先発投手として大事なこと
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手探り状態のなか最適解を見つけながらのピッチング。その状態で、最多勝のタイトルを含む好成績を収めたのだから、東の能力や胆力には驚かされる。東は確信を持った表情で言うのだ。
「改めて僕が先発投手について思うのは、大事なのは“考える力”があるかどうかです。どれだけ引き出しを多く持てるか。相手の対策も加味した上でピッチングをしないと、どうしても結果はついてこないので、しっかりと考えて自分自身を分析して投げることが必要になってくると思います」
おおげさかもしれないが、東がマウンドで見ているのは相手バッターではなく、あくまでも自分自身だ。どんな状況であれ、過去の自分を超える努力をし、また経験からコンディションが良好ではなくても最低限試合を作る。だからこそ3年連続して結果を出した今、東は安堵の表情を浮かべることなく、自分自身を冷静に見つめている——。
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