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「本当に殴れるんだろうか」幼なじみの“二世女子プロレスラー”がついに対戦…田中きずな20歳と心希16歳「運命でつながった」ライバル関係

posted2025/11/10 17:02

 
「本当に殴れるんだろうか」幼なじみの“二世女子プロレスラー”がついに対戦…田中きずな20歳と心希16歳「運命でつながった」ライバル関係<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

マリーゴールド両国国技館大会で対戦した田中きずなと心希。府川唯未と大向美智子がそれぞれのセコンドについた

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 女子プロレス団体マリーゴールドのビッグマッチ、10月26日の両国国技館大会で第1試合を務めたのは2人の新鋭選手だった。

 赤コーナーは田中きずな。2004年12月生まれの20歳で、2023年にWAVEでデビューした(昨年、マリーゴールドに移籍)。対する心希(しんの)は16歳の高校2年生。2008年12月生まれだ。デビューは今年5月。

 2人は団体の未来を担い、出世争いをするライバルであり、また幼なじみでもある。きずなの母親は元女子プロレスラーの府川唯未で、父親は現役レスラーの田中稔だ。心希は大向美智子の娘。府川と大向は現役時代にタッグパートナーだった。プライベートでも仲がよく、家族同士で一緒に年越しをする付き合い。きずなは生まれたばかりの心希も知っている。

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 府川と大向がタッグを組んでいたのは、現マリーゴールド代表のロッシー小川氏がかつて率いた団体アルシオンだった。2003年に活動停止となったアルシオンだが、昨年1月に1夜限定の復活興行が開催されている。府川と大向もリングに上がり、その試合を見て心希はプロレスラーを志したそうだ。

 マリーゴールド年間最大のビッグマッチ、そのオープニングを飾る試合には、それぞれの母親がセコンドにつくことになった。心希のデビュー戦では大向が中継のゲスト解説を務めたが、セコンドはどちらも初めてだ。

“二世”への恐怖…田中きずなの涙

 きずなと心希はともに気合いを前面に出しつつ、対照的な試合ぶりを見せた。4人揃ってコメントした試合後のバックステージ、府川は娘の闘いについてこう振り返った。

「(きずなは)親の技を何も使わず、あえて私(府川)を封印して、自分自身で勝負したんじゃないかなって見てました」

 心希は逆だった。9年間学んだ空手の蹴りに加えて、サソリ固めなど大向に教わった技も出していった。

 大向曰く「私たちもそうだったけど、この2人は極端で」。二世レスラーであることに対してのスタンスが違うという。

 大会に向けた記者会見で、きずなは涙を見せていた。

「よくも悪くも二世ということにスポットが当たってしまうこの試合に、少しだけ恐怖心も抱いています。デビューしてからずっと、二世ではなく1人のレスラーとして見てもらえるようにと言ってきたんですけど、本当は両親の名前を背負う自信と覚悟がなくて、二世という事実から目を背けてきたのではないかなって思ったりもしました。

 二世対決を組んでいただいたからには、しっかり親の名前を背負って、私のプロレスラーという夢を認めてよかったって母に思ってもらえるような試合をしたいと思います」

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